コラム「猫の手も借りたい」№7 深夜の小声バトル 上

私はこのところ、猫たちにご飯を与えるのは、夜10時前後にしている。

冬場はもちろんのこと、夏場でも夜10時を回ると、人通りがぐっと減ってくる。隠れてご飯を与えるつもりはないが、道を行く人は道路でうろうろしている私を見て、「この人なんだろう・・・??」と一様に思われるらしく、中には困った顔で行き過ぎる方もいらっしゃる。私もいちいち「え~、ただ今わたくし~、地域ねこ活動の一環の餌やり中で~す」とか言うわけにもいかないので、なるべく目立たない時間帯と場所を選んでいるわけである。

ある日、仕事で少し遅くなり、11時近くにご飯を与えていた。見ててやらないととられるヤツ(猫)がいるから、張り番してるところで、いきなり呼び止められた。

「なにしてらっしゃるの?!」、振り返るとひとりのご婦人。

私「ノラ猫に餌をやっとります・・・」

ご婦人「あなたね~、餌をやって、猫増やしてる人って!!」

私「(なんだと~! おたんこなす、そんなことしとらんわい!)」と心の中で言った。

私「ノラ猫に餌はやっとりますが、増やそうとしてやってるわけではありません。むしろ、減らすためにやっとります」と、ここから延々とこのご婦人と対話して、終わったら12時前だった、はぁ~。その間、ご飯が足らない子が、

猫「もっと~(にゃ~にゃ~)」と鳴いたが、対話が白熱し、やがて猫も諦め静かになってしまった。それくらい白熱した。

ご婦人は70代半ばと思しき方で、素敵なお帽子を被っていらして、どなたかとの会食の帰りでもあろうか、いくぶんお酒の匂いがした。それも手伝ってのことなのかも知れない。さあ、次回は1時間弱のバトルの模様です。続きます。

2010年/9月某日 くどいけいこ