コラム「猫の手も借りたい」№4 ルーツといきさつ(下)

さて、話は十数年ほど前に遡る。

地主さんの近所で、老夫婦が1匹のメス猫を飼っており、昔のことだから猫は放し飼いにされていた上、避妊手術もしてはなかった。老夫婦はやがて高齢になり、息子さんの元へ行くため、この地を離れることに。結局メス猫を置いたまま引っ越され、その1匹のメス猫の子孫がこの一画にいる猫たちだという。この十数年ほどの間に、置いて行かれた母猫から子猫が生まれては増え、その子猫が成長し、また子猫を産み続け猫は絶えることがなく、地主さんには悩みの種だったというのだ。何度も道路や庭で死んでいる猫を清掃局に電話して弔って貰ったそうだし、原因は判らないが大量に猫たちが死んだこともあったという。

庭に来る猫たちに「可哀想だ」、と地主さんの叔母さんが餌をやったりもしたらしいが、「無責任に餌やって、増えたらどうするの!?」といつも喧嘩になったそうだ。結局餌は、その場所に古いアパートがあり、そこの住人の方たちが「こぞって」やってくださっていたそうで、その結果増えに増え、近所から大クレームになったので、「こぞって」餌やりを止めたらしい。その少し後、キジトラ母はガリガリに痩せ、私と遇ったことがわかった。そのアパートの住人のお一人は、それでも隠れて何匹かに餌やりは続けていたらしいが、そのうち、その古かったアパート自体が取り壊されてしまい、その人も引っ越しし、猫たちはとうとう餌場を失ってしまったのだった。

地主さんは、この猫たちをどうしたものか、と長年悩んで来たが、子猫がどっと増えたのもあり、いよいよ行政に相談しようと思っていた矢先に私と出会い、喜んでこの猫たちの「地域猫活動」に参加して下さった。私たちボランティアが行った避妊・去勢手術の費用助成や保護の協力、キジトラ母子の餌やりも引き受けていただいた。この猫たちの手術がすべて終わった時、「本当にほっとした、長年の肩の荷がおりた」とお二人に笑顔があった。

私は、成猫たちの手術と並行して、12匹の子猫の保護、里親探しをした。1匹はかなり早い段階で姿が見えなくなったそうで、私は実はその子を見ていない。2匹は残念ながら事故と病気で亡くなったが、6匹はなんとかかんとか里親さんを見つけ、現在この一画に残っている子猫は3匹である。地域猫となったこの子たちも4歳になった。

餌やりは、キジトラ母子は地主さん、他の猫たちは、私が続けている。

2010年/7月某日 くどいけいこ