コラム「猫の手も借りたい」№275 脱走に注意
このところ「飼いネコが脱走したので、手を貸して欲しい」という依頼が、次々と舞い込む。
暑いのでついつい窓を開けていたら「網戸」を開けたり破ってしまった、帰宅して玄関を開けたとたん、すれ違いに逃げられた、引っ越しの時に複数匹を脱走させてしまった、というのもあった。
この酷暑の中、屋内にいたネコたちが、突然屋外の環境におかれたことを思い、こちらもなんとか自宅にお戻しするお手伝いが出来れば、と一所懸命である。
脱走場所が私宅近くだったりすれば、一番ネコが動く夜間を中心にパトロールに赴く、
捕獲器をセットの仕方を説明しながら貸し出す、
該当地域の仲間やエサやりさんなどに情報を拡散して一緒に探していただく、
チラシやポスターがあれば広報する、
などなど、出来ることは何でもさせていただく。
がしかし、そう簡単には保護は叶わない。
それまでは抱っこも出来ていた飼いネコも、いったん屋外に出てしまうと、屋外の環境に怯えて呼んでもなかなか出て来ない、近くまで来ても抱っこどころか、触ることも出来ないようになり、保護が難航するケースが圧倒的に多い。
脱走後1週間もすると、ネコたちはだんだん行動範囲を広げていき、どんどん遠くへ行ってしまう可能性が高いので、なんとか早期に発見、保護に全力を挙げるのが大切である。
水は、エアコンから排水されるものがあるので、夏場は比較的取りやすいが、エサとなると、さてそう簡単には口に入らないのではないか。
置きエサがある場所には、当然それを命の糧としている、地域に根付いた「さくら耳のネコ」たちがいるわけで、その子たちのナワバリに侵入するわけだから、いわば命がけでもあるし、元々「置きエサ」はルール違反、置きエサをすることによって、不特定多数のネコを呼んでしまうことが少しずつ浸透し、「置きエサ」は減っていると思われる。
まったく食べられないと、それを取り巻く環境にもよるが「2週間」前後が命のタイムリミットと言われている(個体差はあります)。
脱走したネコを見つけるのに効果があるのは、特徴を捉えた写真を撮影しておきそれを使うこと。
それから「首輪(電話番号を書いておく)」も有効だ。
首輪を嫌う子もいるが、脱走時に ない と ある とでは大きな差が出て来る。
嫌う子には毎日少しずつの時間から始めて、慣らしていくと大丈夫になる子もいる。
屋外で首輪が何かに引っ掛かることもあるので、荷重がかかると切れる首輪を選ぶことも必要である。
捜索の時は、見つかった時にどうして保護するかを考え、キャリーケースやバスタオル、大き目の洗濯ネット、出来ることなら捕獲器を携帯されるほうが、チャンスを生かせると思う。
私の経験では、100匹の飼いネコがいたら、100通りの脱走があると思っている。
それほど飼い主さんはネコを逃がした経験がある人が多い。
かく言う私も、脱走させたことがあるが幸いうちは、その場で確保することが出来、大事には至らなかった。
ネコ探偵さんも、脱走した時のことも頭に入れて飼育して、と書かれていた。
もちろん、脱走させないことは大切だが、万が一の時に飼い主さんがパニックにならないで、冷静に対応することで、その後がかなり違ってくるように思う。
なにより酷暑極寒の時の脱走は命に関わるので、万が一の時の手順を考えておく、などの対策をお願いいたします。
また、猛暑の中での捜索は夜間でも厳しい状況にあるので、くれぐれも無理をしないようになさってください。