コラム「猫の手も借りたい」№274 長い大きなハードル

梅雨も明けないのにこの猛暑、覚悟をしていたとは申せ、うーん、年々厳しくなるなあ……

人の体温を越えるような気温。屋外に出たとたん汗が吹き出し頭からびっしょり、スーパーに到着しやれやれ、エアコンの利いている屋内に入ってもしばらくは汗が引かない。
用事を終え自宅に戻るとベタベタの体、シャワーを浴びないと何事も始められない。
もしもエアコンがない世界、例えば停電になり電気の供給が止まったら……、人はどれくらい耐えられるのか。

「線状降水帯」という、ここ数年前から登場した集中豪雨。
今年もすでにあちらこちらで発生し、降った雨は普通なら川に流れそのまま海まで行くはずが、排水がしきれず「内水氾濫」が起こり、やがては河川が氾濫してあっという間に床上浸水。
水に浸かるとダメになる電気製品も自動車も、家具も一瞬にして廃棄せざるを得ないだろう。
数年前も床上浸水の被害にあったのに、また? という地域もあれば、降りやまぬ雨に数日の間に2度も床上浸水、あまりの状況に途方にくれている、というような人も。明日は我が身だ。

この地球規模の異常気象、なんと北極の氷は早ければ2030年の夏、一旦解けてしまうという、驚愕のニュースが飛び込んで来た。
え、北極の氷が解ける!!?? それも、早ければ7年後、という近さ。
シロクマはどうなるの? もう言葉を失ってしまう。

この炎暑、私が一番気になるのは屋外のムギちゃん。
どうしたらいいか、と思い悩むもどうしようもない。
昨年11月、雨風を凌ぎながらフードを待つことが出来た場所「空き家」が解体され、雨の日はムギちゃんもエサ場に出て来られなくなったので、雨の様子を見ながら小止みになった時を見計らい何度も、出て来るまで行く。
止まない時は彼女は出て来ないから、お互いが諦めるしかない。
気の毒だがどうしようもない。
それでも、空き家解体からすでにもうすぐ8ヶ月、今のところムギちゃんは元気だ。

一日1回のフードだから、彼女はたらふく食べる。
水の置き場も、安心して飲めるような場所が確保できないので、フードボウルにフードと一緒に鶏の茹で汁を注いでやったら、キレイに飲み干す。どうかすると、まずピチャピチャと茹で汁から食す時もあるから、喉が渇いているんだな、と思う。

とにかく夏はこれから、ムギちゃんの越えなければならない、長い大きなハードル、灼熱の夏が始まろうとしている。
今年は長いだろうなあ……。
ムギちゃん、ずっと見守るから頑張れ。

2023年7月 くどいけいこ