コラム「猫の手も借りたい」№253 サマーカット?

ペルの定期受診がコロナのために遅れた。
持病の肝臓やその他の健康チェック、三種混合ワクチンの予定だったが、かつてないコロナの蔓延に私が人との接触を避けざるを得なくなり、延期していた。

コロナがちょっと下火になってきたので、思い切って受診することにした。
いつもより日にちが空いているので、ドキドキであったが、幸いにも数値は落ち着いており、ほっとした。
数値で一喜一憂はしないようにと努力はしているが、努力はあくまでも目標である。
まあ、落ち込むほうの一憂ではないから許してね、ペル。

今夏も、本当ならロングコートをバッサリ、丸刈り予定だったが、ここまできたら秋はすぐそこ、さすがに丸刈りははばかられたので、下半身1/3を、尻尾と足の先部分を残して刈っていただいた。

さて、帰宅したペル。一応消毒、というかよく絞ったタオルで一拭きしてから放すようにしている。
その前にキャリーケースは、アルコール消毒用の不織布で拭くようにもしている。

彼はまっしぐらにフードに。血液検査があるので朝は絶食していたからだ。
お腹いっぱいになると、所定の場所で毛繕い。
やーれやれ、やっと解放された、と硬かった表情も緩んできた。

今日は久々だったため、血液検査に加え腹部エコー、レントゲンなどなど、おまけに爪切りもしていただいたので、待ち時間含めてタップリ2時間半の長丁場だったもんね、お疲れ様。

それからのペル、なんとなく従順な感じ。私の顔色見ながらいつもより心なしか私に寄り添っているような。
ネコも賢い。考えて行動しているんだなと思う。

うちは親一人(親バカ)子一人なので、ペルは「これっきゃいないの?」と思うしかない(苦笑)。
私はペルが大好きだけど、ペルはどうなんだろ、致し方ないよね、なんせ代わりの人はいないんだから。

4年前の春うちにきて、その年いっぱいは頑張って里親さんを探した。良い方ばかりがお申し出くださったが、考えに考えて結局うちに迎えることにした。
これもご縁のものだなあ。今となってはかけがえのない、うちのボウズである(笑)。

一対一は、お互い逃げ場がない。まあ、ペルは四の五の言う人間ではないので、黙って(けっこう鳴くけど)「うちの子」してくれてるけど、私はペルを迎えて、心底よかったと思う。
ペルのためにも、元気でいないと。

実はつい最近、子ネコ保護のお手伝いをした。
うちの近所の方で、道端に子ネコがちょこなんとおり弱っているようだったので、見て見ぬふりも出来ず保護したいが自分では出来ないので相談に乗って、というもの。行き場のない子ネコ、動物病院を受診していただき健康診断、夜になってしまったので、その後いったん私の家で様子を見ることにした。

私は、ペルは子ネコは意外と大丈夫では、と高をくくっていたが……、これがとんでもない誤算であった。
うちは部屋の構造上、部屋別での住み分けが出来ない。2階層の住宅は、ドアが一つもないのである。
子ネコのケージにはすっぽり布を掛けてはみたものの、自分のテリトリーにいきなり子ネコのケージが出現したペルはというと、どうしてよいやらわからず、落ち着かない様子。
うちにきて4年、初めての経験。温和だなあ、と思っていたが、子ネコがオスだったせいもあるのか(ペルもオス)、どんどん気にするようになり、そのうち、ケージの前に陣取って張り番するようになってしまった。

それどころか、私と一緒に3階のベランダに出た彼、なんとまっしぐらに脇目も降らず、ベランダの隙間からお隣の屋根にジャンプ、今時の屋根は瓦葺ではないので爪の引っ掛かりどころがなく、ガリガリと爪を立てながらペルがずり落ちて行くではないか。何度となくベランダには出ているのに、こんな行動はとったことがなかった。
もうどうしようかと思った瞬間、ヒラリと彼はうちのベランダに戻ってきて、はあ~、腰を抜かすほどの思いをした。

ネコのトライアルのみなさんには「ベランダには要注意」とお願いしておきながらこの体たらく、我ながら情けない。
そんなこんなもあって、子ネコは他の預かり先にお願いしました。

先住がいる時は、やはり4才くらいまでに次の子は迎えて差し上げて、と言っているのに、うちの子に配慮できないとは、飼い主失格だ。
また、勉強になりました。

今は1匹でノビノビ、片目をつぶって彼を見ると、白いライオンのように見える。
すぐに伸びちゃうよね、ペル。

2022年9月 くどいけいこ