コラム「猫の手も借りたい」№191 グーグー 上

「グーグー」をご存じの方は多いのではなかろうか。
けっこう前だが、大島弓子さんが書かれた漫画の主人公ネコの名前で、ドラマ化、映画化されてもいる。

私は、デビュー当時から大島さんの作品は読ませていただいており、萩尾望都さん、山岸涼子さんと並んで私の中ではずっとずっと追いかけて来た作家である。

「綿の国星」辺りから、ネコのことを書きだした大島さん。
その後、同居した「サバ」という、ペルシャMIXの女の子との出会いが、「大島さんのその後」の作風を決めたようだ。

そのサバちゃんは腎不全で亡くなり、ペットロスの大島さんが次に出会ったのが、アメリカンショートのネコ「グーグー」だった。

グーグーに続き、ビー、クロ、タマと3匹のネコを近隣で保護することになり、そのいきさつを読むに大島さんに自分を重ね合わせた読者は少なくなかったのではないだろうか。かく言う私もそのひとりである。

それからも大島さんは、次々と保護を重ね大所帯になっていった。もっとも本人が命にかかわる大病も経験され、人生観が変わって来た印象もある。グーグーに始まり、家に迎えられたネコも、関わっていったノラネコもずっと書いてくださり、私はまとまってから出る「コミック」をそれは楽しみに、またハラハラしながらページをめくっていったのであった。
特に外の子たちの避妊/去勢手術に至るのに時間を要し、私宅の庭には20匹以上のネコの出入りがあり、少なからずクレームも出て来たようで、私でよければお手伝いしたい、といつも思った。

結局、グーグーが亡くなった時にこの連載は終了するが、その段階で、私宅の中のネコの数は10数匹(なんではっきりわからないかと言うと、全6巻を人に貸していて、手元にないのです、マヌケな理由ですいません)になっており、あ~、これでもう大島さんはこの続きは書かないかな、とちょっと思っていた。ひょっとしたらネコに関わる団体さんや個人ボランティアさんから、アドバイスなりご意見なりがいっているんでは、と想像したからである。

つい最近、このグーグーの続編が、コミックですでに3巻出ているのを見つけ、早速購入した。
あの、たくさんのネコたち、ビーは、クロは、タマはどうなっているのか、もうドキドキしながらページをめくった。いや、めくらなかった、、、、

コミックになっているが雑誌の連載なので、1話4ページに割られ、それぞれに「タイトル」が付いている。
そのタイトルにざっと目を通し、「気になるネコたちのその後」を先読みした。

はー、悲しみが込み上げ、心が震えた。とても気になっていた3匹は解ってはいたものの、すべてこの世にはおらずそこでいったんページを閉じた。そのまま読み進める勇気がなかったからだ。

最初の全6巻の中で、その3匹は繰り返し繰り返し紹介され、私の中には、いわば刷り込まれていた。グーグーの連載が終わってからも、あの子たち、どうしているかな、と時々思い出したりもしていた。
それほど、大島さんが苦労なさって屋外からピックアップされたこと、3匹が3様でキャラクターが際立ち、印象的であったからである。

続きます。

2020年2月 くどいけいこ