コラム「猫の手も借りたい」№164 植物中毒

いそうろう「ふうた」の退院後、血液検査で動物病院を訪れた時の話だ。

「ふうた」は毎日元気で過ごしており、退院直後に比べ、日に日に体調がよくなっているのが、はっきりわかるような状況であった。
さて、「血液検査」の結果が出てびっくり、「肝臓」の数値がド~ンと高くなっているではないか、、、
元々、肝臓の数値は、正常値より若干高めで出ていた(他の数値はまったく問題なし)。
しかし、一番状態が悪かった入院初期の数値と比べても、圧倒的に高い。
うーん、とドクターも私も首をかしげる。だって、原因に心当たりがないんだもの、、、、

フードはドライの「消化器サポート」、それもプレミアムのやつ。
食いしん坊でなんでも食べてしまうので、ネコ用も人用も、食べ物はすべて扉付きの棚にしまうか、保存用のボックスに入れてあり、いわゆる「盗み食い」は出来ないようにしていた。

仕方がないので、とりあえず2週間の薬を処方していただいて様子を見ることに。
それで2週間後、体調になんら変化はない。
最初より軽めの薬を処方していただき、さらに2週間、都合1ヶ月の投薬となった後、いよいよ検査日がやって来た。
祈るような気持ちで血液検査、結果はド~ンと下がっていた。
やれやれ、よかった、とはいうものの原因が判らないから薬を止めて1ヶ月様子を見て、もう一度検査することになった。
当人(ネコですね)はというと、数値が上がってもまったく関係なく普通に生活しており、「黄疸」も「嘔吐」もない。

投薬を止めて1ヶ月後、また血液検査に臨んだ。
2ヶ月前ほどではないけれど、けっこうな数値に上がっていた。
また「う~ん」。どうなってんだ、、、
それでも今回は前回ほどではない数値。
ひょっとして肝臓に異常があるのでは、という話になり、日を置いて組織検査するか~、となりかけた。

そんな中、仕事が休みでうちにいた時、チラッと目に入ったのが、ふうた が、窓辺に置いてある植物の葉をバクっと口に入れる光景。
走り寄って、吐き出させると確かに葉を食べている。
え、え?っ と心配になり、もう1ヶ所ある別の植物の鉢を確認すると、葉がかじられている様子。

もちろん、即刻受診しようとしたが昼休憩で、夕方の診察は、16時から。
その間、インターネットにかじりついて検索をかけてみたが、なんと、びっくり。

まず、さっき食した葉は「キャットテール」という名で知られる植物で「アカリファ」といい、中毒を起こすようだ。

赤い綺麗な「穂」を垂らすのだが、その穂が「ねこのしっぽ」にそっくりなため、キャットテールという名で親しまれており、私はもともと植物にはまったく興味がないのだが、あまりに可愛いその容姿に一目惚れで購入したものだ。それを ふうた は食していた。

もう一鉢、置いてあるのが「ディフェンバキア」という植物。
こちらは確か、友人からのプレゼントだった気がする。

これは、ネコにとってとても危険だ、と書いてある。
これも明らかにかじられた跡があった。

夕方の受診でドクターと話すと、これらの植物を常食していたとしたら、量にもよるが肝臓の数値にも影響するのでは、という見解。
帰宅し早速,、植物を ふうた から遠ざけてみた。
なんのことはない、その時点で使っていない ふうた のケージ(檻)に植物の方を入れてドアを閉め、前足も口も届かないようにした(笑)。

さて1ヶ月後、再々度の血液検査。
数値は改善されており、はー、やれやれ。

亡くなったタマは、例え室内にあっても一度も「ネコ草」以外の植物を口にしたことがなかったから油断していたし、その手の知識も浅かったが、調べれば調べるほど怖い「植物中毒」。
サトイモ科のもの、今回の「ディフェンバキア」がまさにそうだが、要注意。
「ユリ」は猛毒で、生けた水盤の水を飲んだだけで重篤な状態になったケースもあるようだ。

他にも急性腎不全を起こしたりする植物もあり、知れば知るほど、おーこわ。
くわばらくわばら。
ネコを譲渡するに当たってお試し飼育「トライアル」に出す時にお配りしている、「トライアルについて」のパンフレットに「植物誤食の中毒」の件は、追記しなくてはいけないな。

ふうた が大事に至らず本当に良かったが、大反省の事件であった。

2018年12月 くどいけいこ