コラム「猫の手も借りたい」№141 あれから
タマを送ってから今日で7ヶ月経った。
あっという間のような、永いような変な感覚がある。
数日前、仕事から帰り玄関に立った時、ふと扉の向こうに彼女がいるような感覚にとらわれ、「ただいまー」といつも通りドアを開け彼女を確認したが姿はなかった。
思わず、そうか、いないんだね、、、と涙になった。
そうは言っても、いつも通り寝室に行くと彼女が階段を登ってくる音が聴こえたり、ふと室内を横切る姿(姿と言っても、ふっと何かが横切るだけですが)が見えたり、と不思議なことはよーくある。
私はなんか見える人ではないが、それでも「錯覚」はしょっちゅうである。
永年暮らした体感や感触は私に染み着いており、そう簡単に拭えるものでもないことは重々承知だ。
寒くなって来て、分厚い衣服を取り出す時、彼女の白い毛(彼女は白黒ネコでした)が付いており、コロコロ(粘着ローラーですね)で落としながら、これもそのうちなくなるんだな、と思うとこれまた涙。
昨年の今頃は、まさか亡くなるなんて思ってもみなかった。
体調を崩してからは、あれよあれよという間の出来事で、5ヶ月ほどで他界してしまった。
今考えるとたった5ヶ月か、と思うが、渦中にいる時は本当に辛く最後の2週間、まったく食事を口にできなくなってからは、当人も辛かったろうと思う。
本当につまらなそうな顔をしていた。
それでもなんとか自宅で看取ってやりたく、それが出来ただけでも自分の勇気を褒めてやりたい。
彼女がいなくなっても、お外にいる子たちの給餌は変わらず。
トラミさんも心配である。
歯肉炎か口内炎か、はたまた他の疾患か不明だが、頬をひっかくようなしぐさは続いており、なんとかもう一度保護し、受診したいが捕獲器にはまったく入らなくなってしまっていて、いやはやどうしたもんだか。
食欲旺盛で、一番に来ちゃあたくさん食べ、他の子のあまりも食べちゃう大食漢のトラミだったが、今は完全にフードを替え、高カロリーのものや好みの缶詰をとにかく食べさせるのに四苦八苦である。
一度は食後のお皿が「血」で染まっており、私の血が引いた。
お皿も、陶器の重いやつ、それも四隅の角がなくひらべった過ぎでない皿を選んで使っている。
「容器」でも工夫すると食が進むからである。
すでに13-14歳になっていると思われるので致し方ないが、食べたくても食べられない、というのは見ていられないので、こちらも必死である。
毎日毎日トラミの食事に一番神経を使い、どうかすると3時間くらいかかってしまい終了が夜中12時だったりと、「やれやれ」の日々である。
いろいろ工夫して食べさせること、うまく保護しなんとしても受診させたい、と願う。
クーは、私とトラミの付き合い方の変化を如実に読み取り、ひとりでフードをねだりに来るようになった。
以前はなかったことだ。
室内に「タマ」もいないのが解るらしく、この間はストッパーで開けてあった玄関から、ちょっとだけ入って来てびっくり。
賢いなあ、いろんなことを見て取っているんだわね。
これは、たぶん家で複数飼いしていらっしゃる方は、様々なご経験をお持ちなんだと拝察する。
本当にネコって不思議で可愛いのね。