コラム「猫の手も借りたい」№142 干支

暮れのここに来て「猫の飼育頭数が犬を逆転した」というニュースが流れた。
あらら、来年は「戌(犬)年」だけど。

少し前のニュースで「逆転する公算大」と言われており、気になっていた。
もっとも、飼育世帯数は犬の方が猫よりかなり多い。これは、猫が「複数飼育」されているということに他ならない。
犬の飼育頭数はここのところ伸びておらず、猫はそれに比べてぐんぐん伸びていた。

90年代後半以降に到来した「小型犬ブーム」時に飼育され始めた小型犬が寿命を迎える中、飼い主も高齢化が進み、新たな犬を飼い控えている、ということもあるらしい。

私たちは「里親さん」を探す時、「猫の方が犬より飼い易い」と説明させていただいている。
散歩も不要だし、留守番も上手だし、ランニングコストも医療費を含め犬よりは割安で、個体差はあるがつまりは飼い易い、ということ。
確かにその通りではある。
もちろん、犬には犬の良さがあり、猫には猫の良さがあるのは重々承知だ。

私は田舎で育ったので、屋外の犬小屋で飼育できる犬の方が、泥足で畳に上がって来る猫に比べると親は都合が良かったようで実家では「犬」は飼育していた。
私の子供の頃のブーム犬は「スピッツ」(年齢がばれる)、大型犬は「コリー」「シェパード」の時代。
私と永く暮らした犬は「スピッツ」の雑種で、つい先日実家を片付けていたら狂犬病予防注射の証明書が多数出て来、感慨深かった。

母の実家は「農家」だったため、ネズミ害から作物を守る「猫」との縁は深かったらしい。
常に猫は傍らにおり、それこそ味噌汁かけのごはんで飼っていた世代である。

犬は防犯、猫はネズミ害を防ぐため、ペットと言う目的ではなく飼っていた時代、だから私の両親には、犬・猫はいわば「家畜」で「パートナーアニマル」の感覚はない。
私の実家はサラリーマン家庭だったため、猫と暮らす縁がなかったので、最初の猫「チャオ」と暮らすまで、猫と暮らしたことがなかった。
猫を飼ったとたん、猫の可愛さに魅了されたのは言うまでもない。

実際に飼ってみると犬に比べてはるかに猫は飼い易い。犬よりは手がかからないので、長時間家を空けなければならない私の仕事には、猫は都合が良かった。
彼が若く元気な間は、ペットシッターを近所の友人に頼んで海外にも度々出かけられた。

犬は「狂犬病予防法」があり、いわゆる「ノラ犬」はとっくの昔に巷のどこを探しても居なくなった。
残念だが、相変わらず「捨て猫」は多いけれど。
小さい頃から動物好きで、捨てられた犬も猫も見捨てることが出来なかった私は、屋外でうらぶれた、弱った動物を見ることがどんなに心痛だったか、、、、
大人になった今、不幸な動物を助けるための一助となれる活動を思う存分出来ることは、何より嬉しい。
今は不幸な猫が1匹でもいなくなるように、力を尽くしたい。

さて、来年は「戌年」。
しかし、私の年賀状は「干支」がなんであれ、毎年「猫」、これも干支に「猫」が入っていないからこそ出来ることなんだなあ。

2017年12月 くどいけいこ