コラム「猫の手も借りたい」№133 フード選び 上

私たちの里親活動もすでに10年ほどになり、時々会場を借りて「里親会」も開かせていただいたりして、多くのネコたちの里親さんになっていただいた。

本当にありがたいことです。

里親候補者さんとご希望のネコちゃんのお見合いが終り、トライアル(お試し飼育)に入る時にお渡しするのが「トライアルのお願い」という書類で、まず無事にトライアルを終了していただき、そしてその先、正式譲渡になった後にも、里子のネコちゃんが健やかに育ち、末長くご家族とともにありますよう、私たちも陰ながらお力添えさせていだだく目的で作成したものです。

さて、この「トライアルのお願い」という書類、一番最初に「フード」について挙げさせていただいており、ネコたちにとって一番大切な「食べ物」についてのご配慮をお願いしている。

ネコたちの寿命が画期的に伸びた理由は、完全室内飼育(交通事故に遭遇する、病気に感染するなどのリスクが回避できる)、動物医療の発達、などに加え「フードの改良」が間違いなく挙げられる。

フードは、本当に良くなった。 メーカーが競ってどんどん良いフードが作られ、目を見張るばかりである。
いわゆる「プレミアムフード」なるものは、高品質で値段も良いが、雑食のイヌさんと異なる「肉食」のネコの生態に合わせ、工夫/改良が成されているように思う。

食は、食べることで生きているモノにとっては、基本中の基本であることは言うまでもない。
食生活が安全で、なおかつ満たされていれば、寿命にも大きく影響してくる。
それは人もネコも同じで、したがって私たち里親会では、ネコさんを譲渡する時はそのことを十二分にご説明し重きをおいていただいていた、、、、ハズだった。

最初にトライアルに入る段階で「トライアルのお願い」を読んでいただきつつ、口頭でのご説明も十分に行っているので、ご理解いただいていると思い込んでいたのである。

くだんの文章は、以下の通りである。

『 ★フードについて

フードは、現在与えているものを持参いたしました。

保護先からトライアルのお宅に移りますので、「環境」が変化いたします。新しい環境に対応いたしますのに猫によっては多少時間がかかる場合がございますので、猫の新たなストレスを少なくするためフードは変えずに、まずは保護先と同様のフードをしばらく与えて下さい。

私どもの里親会では、保護主さんにお話しし、出来る範囲で「良質なフード」を与えていただくようお願いしております。

安価なフードは、人間のジャンクフードと同様で、脂肪分・塩分が強い傾向にあり、お薦めはできません。 安価なフードを与え続けますと、心臓、腎臓などの内臓に問題がおこる傾向があり要注意です。 健康で長生きするよう、フードにはご配慮をお願いいたします(結果的に医療費も少なくて済みます)。
*子猫のうちはなんでも食べますが、大きくなるにつれ嗜好が強くなる傾向がありますので、お気を付けください。 』 というものだ。

にも関わらず、にも関わらずだ、譲渡してしばらく経過した段階でお話を伺ってみると、、、フードが「ジャンクフード」に切り替わってしまっている場合も少なくなく、愕然とする。

先頃は、こんな感じで始まった。
「うちの〇〇ちゃんに、オーガニックフードっていうすごい「プレミアムフード」を買ってあげたんだけど、ちっとも食べなくて困っちゃったわよ。どうしたらいいかしら、、、」
私は「へぇー、そりゃあいいですね、素晴らしいです。
でも、なんで食べないのだろう、、、ところで、今、何をあげてます?」と尋ねると、「〇〇〇〇」と里親さんから返って来たフード名を聴いてびっくり仰天、え、それって譲渡当初に持参しお渡ししたフードの、何分の1かの値段で買えるフードだわ~

続きます。

2017年8月 くどいけいこ