コラム「猫の手も借りたい」№113 ふたつの出来事
ひとつめ。
私は現在2階に住んでいるが、階下の1階にこのほど新しい住人が入居された。 Tさん、という単身の男性で、私よりずっとお若い。
Tさんはご近所の友人Kさんの知り合いで、猫好きで地域猫・保護活動に興味がありボランティアをしている人である。 本当に良い人が階下に越して来てくれたものだ。
Tさんと私はすぐに親しくなったし、Kさんとも地域で一緒に活動をしているので「輪」が広がった感覚で、みんなでわいわいやっている。
とは言え、Tさんの活動歴はそんなに長くないので、アドバイスすること(偉そうにすいません)も多く、真剣に耳を傾けてくれるのが嬉しいし、なによりそれを役立ててくれていて、こちらも遣り甲斐を感じながら楽しく活動している。
また、仕事で出張がちな彼は、自宅にいる飼い猫さんの留守の時の世話もKさん宅に頼んだりしていて、しかし、そんな忙しい中でも猫の生態や習性に合わせ、日曜大工(今は DIY とか言うんでしたっけ)で脱走防止の柵をこしらえたりしていて、微笑ましい。
元々彼は、Kさん(私と同年代)のお嬢さんの友人で、お嬢さんと一緒に活動をしているので、私の一世代下のボランティアである。
お嬢さんは今、河原に置き去りにされた猫たちを救おうと一生懸命だ。
なんでも、自宅で自家繁殖した猫たち10匹ほどを、家主とトラブルになったということで「河原で飼育(?)」している変なおじさんがいて、そのおじさんと闘いながら少しずつ保護し、里親探しをしているようだ。
頭が下がる。
河原の猫たちにもTさんは、給餌を代わったりして頑張っている。そうだ、みーんな猫を救いたいのだ。
うちはそれこそ「ひとつ屋根の下」なので、保護した猫ちゃんの「飼育相談」や「ボランティアの苦労話」をしたりしながらお茶を飲んだりしており、私も若い世代に触発されたりしている。
ふたつめ。
うちのNPO法人ホームページの問合せフォームから、「相談」や「依頼」が数々寄せられる。
なるべく早くメールでご解答したり、電話でお話しながら状況を確認させていただいたりしているが、そんな中、このほどご相談をいただいた方から、『コラム「猫の手も借りたい」を全編読みましたが、情があっても変な湿気がないのが素敵です』との感想をいただいた。
もちろん、私が「くどいけいこ」だとご存じなくて、お寄せ下さった感想である。
いやー、嬉しいです。
このコラムは、私のライフワークでもあるが、本来の目的は、コラムをお読みいただくと「地域猫」のことが自然と解るようになるというのが一番である。
ノラ猫、地域猫に携わって下さる方がなるべく読みやすいように、またマイナス要素は心のご負担にならないように書くことを心がけている。
外の猫たちに関わっていると、辛く苦しいことが少なくない。 それは「命」が関わって来るからである。
これが「もの」なら、こんなにまで気になることもなかろうと思う。
外の猫たちは極寒酷暑を毛皮一枚で乗り切って行かなくてはならない。 以前、「自立支援より救済を」と言われたボランティアさんがあったが、それも大事と思う。
しかし、外の猫たちはそんなことはお構いなしに、一生懸命生きている。
一心不乱にフードを頬張り、お腹がいっぱいになると満足そうに引き上げていく子たちを見ると、時々胸がいっぱいになる。
これからもこの子たちに寄り添ってやりたいものだ。
今後とも、コラム「猫の手も借りたい」をよろしくお願いします。