コラム「猫の手も借りたい」№112 町会長さん
急に春めいて来た。気温もぐんと上昇し、冬のコートとはさすがにおさらばである。
さて、外の猫たちも恋の季節を終え、今はほとんどのメス猫は生まれたばかりの仔猫の世話に忙しいはずであるが、その点、うちの庭の猫たちもうちのタマも、もうお産することはないので呑気にしている。これも申し訳ないが致し方ない。
昨年の11月頃から、ある一町会さんの地域猫活動に参加し、1月の終わり頃から2月の終わり頃まで毎週末、ノラ猫のTNR(捕獲・手術・リリース)を町会のみなさんと一緒に「チームまちねこ」で行った。
ノラ猫の避妊去勢手術に、区から助成金が出ている地域だったので、その助成金を利用してのTNRである。
最初は、町会の役員会にお邪魔し、区内の行政担当の方とともに地域猫の説明を行い、町内の現状を把握しながら「ノラ猫MAP(地図)」を作製した。
それぞれの地域に何匹くらいのノラ猫がいて、その猫たちに餌を与える人の情報も収集し、何時頃に猫が集まるか、などの話を詰めていってMAPに書き込んだのだ。
それが終了すると、MAPを基にスケジュールを立て、町会のみなさんと一緒にノラ猫の捕獲を行い、捕獲した猫を病院に搬送し手術、その後元の地域にリリースする、TNRを繰り返した。
TNRを行うことは事前にチラシを作成し、町内回覧板で回しながら、平行して掲示板にも貼り出し広報に務めた。
実際の捕獲の時は、誤認捕獲を回避するのに「飼い猫は外に出さない」ようにお願いし、またノラ猫を捕獲しやすいように餌やりも中止していただいた。 完全に屋外の捕獲なので天候に左右されもしたが、その割にTNRが進んだ。
最初は「ワルモノ」だったノラ猫たちも、役員さんたちと接し私たちがお話しすることによって、みなさんの意識がだんだん変わって行くのに気がついた。
ノラ猫は手術をすることによって「地域猫」となり、メスは出産をしなくなり従って増えることはない。
オスもメスを求めることがなくなるので、盛りの声やケンカもなくなる上に、手術によっておしっこをかける「マーキング」の臭いが軽減される。臭いが抑えられるのだ。
リリース後の地域猫たちには、続けて餌やりをしていただき「一代限り」の命を全うさせてやることが、TNRの目的である。
いきものの「大切な命」を守ることも出来るわけである。
私たちが今まで依頼を受けてTNRを行った地域の方々が、みなさん一葉におっしゃることは「なにが怖いって、毎春、秋に小さな仔猫を見かけること」、それでノラ猫が着実に増えていると感じるそうで、それが手術が進むことにより仔猫を見ることがなくなると、本当に心が穏やかになるそうである。
ご近所に30匹いれば困り者だが、これが3匹なら「そう言えばいるね、ノラ猫」という程度になってくることは、私も経験済みである。
町会の皆さんも同じように考えて下さっていることであろう。
いよいよ捕獲を行うことになった役員会での、町会長さんの言葉が非常に印象に残った。
「さあ、みんなでノラ猫さんを守りましょう!」