コラム「猫の手も借りたい」№84 待合室で 上

サビ2 -te

うちのタマの病院通いに加え、私がボランティア活動をしているので、やむなく猫を保護した依頼者と一緒に病院に行かなくてはならないこともあり、その度に動物病院さんを受診する。

その時は、待合室で診察を待つことになるが混んでいることも多く、本を読んだり色々するが時間を持て余すことになったりし、ついつい周りを見回してしまうのは皆さん同じではないだろうか。

待合室で、ワンちゃんを見て飼い主さんを見ると、なんとなく似ていることがあり、「へ~」と思う。永年一緒に暮らしていると段々似てくるのかも知れない。キュートなワンちゃんには、キュートな飼い主さん!いいなあ。

また、いつぞやは、体格のよろしいご婦人が、これまた体格のよろしいブル・テリアの子犬(?子犬とは言え、普通の中型犬くらいあった)を後ろ向きで抱っこされ、その子犬の背中がど~んとそびえているように見え苦笑してしまった。あれだけ大きい子はさぞかし重かろうが、抱っこし、抱っこされたいんだろうな。

お待ちの飼い主さんたちも、お隣りさん同士や、ワンちゃんなら同じ犬種同士でお話しされたりしながら順番待ちをしていらっしゃる。

私もずっとそうだった。

そんなある日、うちのタマが重症で来院し「命の危機」がある時があった。
先住のチャオも同様のことがあり、そのような時は心情的に通院が非常に辛かった。
それでももちろん病院には行くわけで、待合室で待つこともやはり同様に辛いものがあった。
お隣りの方は待ちくたびれてか、「お宅さんはネコちゃん?どうなさったの?」と気楽に声を掛けて来られることがあり、正直返答に困った。

気易い気持ちでそれまでは応えて来たが、そうもいかなくなったのである。

「はあ、ちょっと・・・」とかでごまかそうとすると、勘の良い方は「はっ」とされてそのまま話しかけるのを止められる人も多いが、更に訊ねられる場合もある。
「うちの子、悪いんですよ・・・」と本当のことを言おうものなら、狭い待合室の空気が凍りそうで怖いので、話しかけられないように本を必死に読んでいる振りをしたり、離席して屋外へ出たりしてその場をしのいでいる。

待合室はちょっと拝察していると、高齢であったり重篤な病気やケガなどで体調が悪そうな子を、大事に膝に抱えていらっしゃる飼い主さんを見掛ける。
「そうだ、この待合室にはいつでも、明日をも知れぬ子がいるかも知れないんだ」と気付く。

続きます。

2014年6月 くどいけいこ