コラム「猫の手も借りたい」№69 近隣有志 上
うちの近所の、ノラ猫が増えて問題になっている場所で、「避妊・去勢手術」をして欲しい、との依頼があった。
今回の件で画期的なのは、依頼のあった近隣の「有志」の方々は、どなたもノラ猫への給餌をしていないという点にある。
9月の初めのまだ暑かった頃、夜8時頃に餌を与えている住民を目撃した人がいて、大小20匹くらいの猫が群がっていた、という話しを聴き問題の場所に行ってみた。
その時に私を見つけ歩み寄って来られたご婦人があった。Bさんとしよう。
Bさんは、私がここに来た理由を述べると、その通りであり、生ゴミを荒らされたり庭をフン・尿で汚されたり非常に困っているという。また、小さな子猫が年に何回か生まれ、病気で苦しそうにしていたり、車に撥ねられ亡くなっているのを弔ったりと大変な思いをしている、と言われた。
Bさんが様子を見ていると何人かの給餌者があり、勇気を出して「給餌して貰うのは仕方がないが、増やさないための手術、フン・尿の清掃などの後始末をしていただけないか」とお願いされたそうだが、「手術には費用がかかる」などと跳ね返され、放置されて来たとのことである。
私は、名刺をお渡しし、私達で協力しますからこの問題を解決しましょう、とやんわりと持ちかけた。
また同時にこの付近の方のポストに、9月28日に行った「北区環境展 猫の相談会」のチラシを入れ、少しでも問題意識を持っていただいたり、困っている方にはご相談いただこうと努めたが、残念ながら反応がなかった。
と、その矢先、Bさんから会の代表電話に連絡が入ったので、お話しを伺った。
なんと、近隣の方々が代金を支払うので手術をお願いしたい、との依頼であった。この近隣の方々(有志)の中には、今回手術をする猫たちに給餌している人は誰もいないとのこと。え、そうなの?とびっくりした。
このプロジェクトを展開するのに、Bさん以外の有志の方々に、手術をするに今回あたりこうなったいきさつ、法律も含めた昨今の「ノラ猫事情」、手術のスケジュールや注意事項、おおよそこの3点について説明会を行うことになり、発起人のBさん、そして今回参加して下さる皆さんに集まっていただいた。
説明会は、7~8名の方がいらっしゃり、1時間ほどの話を熱心に聞いて下さった。
皆さん一番驚かれたのは、昔とは法律(条例)が変わり地域の猫たちを増やさないため手術をしたり、餌を与えたりというノラ猫の「管理」を住民が行う、となったことだ。
皆さん一様に「保健所に電話1本したら解決するんじゃないの?!」と口を揃えられる。法改正が行われ「地域猫活動」が展開されてから久しいが、なかなか広報が行き届かない現実がある。
現在では保健所に連絡しても、猫は引き取らない。犬と同等の「愛護動物」となった猫、飼い猫でもノラ猫でも、扱いに差はないのである。
先程も記したが、今回手術を依頼して下さった「有志」の中には、給餌者はひとりも含まれていないし、逆に給餌している人の何人かは判っているので、そちらも「有志」に加わっていただくか確認したところ、お一人ずつのお声掛けや承認を取っていては時間がかかることが予想されるので、それは追々にやって行ったら、ということで意見がまとまり、手術日も決めることが出来た。
2013年10月 くどいけいこ
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