コラム「猫の手も借りたい」№59 ウエスタン 下
保護、入院した黒猫は若いメスであった。ステーキハウスの前で保護したので「ウエスタン(仮の名前) ~女の子なんだけどな~ 」と命名した。しばらくの入院は必要だが、元気になったら元の場所に戻せそうとのドクターのお診立てだったので安心した。なにはともあれ元気になってくれるのが一番だから。
ところで、このステーキハウス周辺ではよく黒い猫を見かけることがあり、少し前にもお店の前で黒猫が交通事故に遭ったばかり。お店の方にお話を伺い、可能なら増えないように避妊・去勢手術をお薦めしたい、と思った。
「ウエスタン」は、どんどん元気になり、性格が穏やかだったせいか病院のスタッフにも懐き可愛くなって来た! 潰れていたお目々もぱっちり開いて。黒猫はやっぱりキュートだなぁ。
私はステーキハウスをお訪ねし、ウエスタンのいきさつをお話しした。まだ何匹かウエスタンのファミリーと思われる猫たちがお店の周辺におり、おまけにお店は大きな通りに面しているので交通事故が心配で、やはり猫は増やさないのに越したことはない、と。
訪問すると、最初は「うさんくさいヤツ(私のこと)」と敬遠された(たぶん)。これまでも何度か食事にも来ているが、それとこれとは訳が違う。
話を聞くと、現在こちらのお店周辺にいる猫(確かに黒猫!確認出来た)は4匹。1匹は「ウエスタン」、3匹は現在こちらで餌を与えており、そのうちの1匹は最近姿が見えなくなった、ということなので、少し前に交通事故に遭い近所の人が手厚く弔ってくれた黒猫のことを伝えると、そうだったかー、という表情。
ウエスタンの話には、彼女が車道にうずくまっていたことも、目が見えなかったこともご存じで、その後いなくなったので、どこに行ったやら、と思ってはいたとのこと。
通行人の方々にもご協力いただき深夜に保護、現在入院中で順調に回復しており、元気になったら避妊手術をして元の場所(つまりはここ)に戻す予定であることをお伝えした。また、餌を与えている飼い主のいない残り2匹の黒猫たちも、手術をしないと増えてしまって大変なことにならないとも限らないので、手術をしませんか?と投げかけた。
そのお店はご家族で経営されており、自宅は他区にありそちらでも飼い主のいないネコに関わっており、具合が悪くて結局飼い猫にした1匹は、かなりの医療費がかかったとのこと。こちらのお店ではお肉を扱っていらっしゃるのに、猫たちお肉は食べないそうで、お刺身などの魚を与えている、などのお話を聴くことが出来た。
それから何日か後に、それでは手術をしましょうか、というご連絡をいただき、私たちでお手伝いして避妊・去勢手術を行った。その時、他の餌場から来たであろうメス猫を1匹たまたま保護したが、その子も手術をし費用も出していただいた。これで猫が増えなくなる、と喜んでくださった。
その後ウエスタンは、元気になり退院した。運よく手の空いたスタッフがおり、自宅でウエスタンを預かって面倒を見てくれるという。運の良い子だ。
ほどなく、里親会で良い出会いが(2012年3月20日開催の「緊急!里親会」の会場で、ペットシートに隠れてるのが彼女です)あり、今ではれっきとした「飼い主のいるネコ」になった。
時々ステーキを食べに伺うと、お店ではウエスタンや術後の猫たちの話で盛り上がる。その後は猫も増えず、避妊もしたので他のオス猫も来ることがなくなって、2匹は穏やかに暮せるようになったと聴くと、こちらもお手伝いをした甲斐があったというものである。
めでたしめでたし。
2013年4月 くどいけいこ
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