コラム「猫の手も借りたい」№60 餌をやること 続

3回前のコラム(№57)、「餌をやること」というタイトルでアップし「地域猫活動」を取り上げたら、1日のアクセス数がそれまでの約倍の150件を超えた。フェイスブックで紹介文を載せ応援してくれた友人もおり、それも後押ししてくれたのかアクセス数は日に日に増えている。嬉しいことだ。

新しくコラムを読みに来て下さっている方がいらっしゃるので、「地域猫」の復習をわかりやすく。

一昔前は「猫に餌をやるな、保健所に連れて行くぞ!(殺処分)」と言われ続けていたノラ猫だったが、昨今(と言ってもかなり前からですが)は事情が変わり、自治体により多少は異なるが、猫には餌をやっても良い、というように条例が整って来た。

これがいわゆる「地域猫活動」と呼ばれるもので、ノラ猫(「飼い主のいないネコ」と言います)は、タヌキやハクビシンなどと一緒のくくりの「野生動物」ではなく、犬と同様の「愛護動物」というくくりであり、屋外の餌(基本的にはネズミなどの小動物)を常に自力で摂れるわけではないので、人も給餌し共生していく動物と位置付けられたわけである。

以前は、猫の給餌者とその地域住民の方との間で「餌やり」のトラブルが絶えなかった。
動物愛護の観点からは確かに、満足に食べることさえ出来ないノラ猫たちが不憫に思え給餌をした方も多かったろう。しかし、給餌してみると判るが、繁殖力旺盛の猫たちはそれこそ「あっ!」という間にネズミ算式に増えてしまい、給餌者もその地域の人も頭を抱える結果となった。

現在は行政で「地域猫活動」に取り組む自治体が増え、餌をやる猫には繁殖しないように避妊・去勢手術が義務付けられた。地域ボランティアとも協力して「TNR(保護、手術、地域へ戻す」を薦めている。

だが、正直まだまだ、給餌者とその地域住民の方との間でのトラブルはなくなってはいない。地域猫活動の認知と理解がなかなか得られない、ということである。

給餌者も、ご高齢の方がどちらかと言うと多く、条例をご存じなくて、ただ単に猫が増えないようにと、TNRをなさっている場合もあり、何も知らない人から「餌をやるな!」と給餌の行為を咎められても、ご自分でやっていらっしゃる「地域猫活動」の説明が上手く出来ないことも多々あり、誤解を招くことがあるようだ。

さらに、この活動をしていてよく聞く「ちゃんと猫の面倒みられないなら、関わらないのが一番」という言葉、これもこれからは、皆さんで関わっていただくように広報して行きたい。というのも、ひとたび「地域猫問題」が浮上すると、「給餌者の問題」と捉えられることが多く、「ノラ猫の問題は、猫好き(要は給餌者)に解決して貰って」と大方の皆さん、対岸の火事。だが現状は決してそうではない。

条例を守らずモラル抜きで給餌をしている人は別にして、TNRを考えている給餌者は、自費を投じ避妊去勢手術・餌代を捻出し猫を減らすべく活動している方ばかりで、この活動があればこそ、猫は迷惑になる数に増えず問題視されないわけである。

だから、これからは自宅のご近所でノラ猫を見かけたら「自分は関係ない」と考えるのではなく、誰かがこの猫に関わっているんだろうな、と思っていただきたい。それだけで、皆さんの意識は少しずつ変わって行くに違いない。

 

2013年4月 くどいけいこ