コラム「猫の手も借りたい」№32 猫の事故 ~転落/脱走~

<転落/脱走しちゃった>

子猫を里子に出したあるお宅の話し。お見合いの時に、先住猫ちゃんがなんで亡くなったのかお尋ねしたら、なんと5階の屋上から転落したとのこと。本当にお気の毒に。5歳のオスだったそうです。

そのお宅は、その猫ちゃんが来た小さな子猫の時から、ずっと屋上を開放していたそうで、丸5年間、なんの問題もなくその猫ちゃんは下の階から階段を昇り降りして屋上で遊び、飛び跳ねていたとのこと。ある日のこと、呼んでも姿がない。家中探したが見つからない。よもやよもや、と家の周りを捜索したら彼の亡骸があったそうで、本当にショックだったとおっしゃっていました。5年間無事故だったのになぜ落ちたのか見当もつかない、と首を捻っていらした。

猫には、屋上やベランダの向こう側には「床」や「地面」がないことを理解出来ないかも知れません。

それを懸念したあるお宅は、猫を抱っこして高いベランダの手すりから下を見せて、「床」がないことをよーく言い聞かせた、とのこと。しかし、その子は鳥を追いかけてジャンプ、幸い高層マンションではなかったのでケガで済んだそうですが、「言い聞かせ」ても、それをその猫が理解したかしていないかを確認する術が私たち人間には残念ながらないですよね。

猫は屋上やベランダには基本的に出さないこと、どうしても出すなら必ず誰かついて様子を見ることが大切です。油断は禁物、滑り落ちたり跳んだりするのは、ほんの一瞬の間でしかありませんから。

愛猫を亡くされた里親さんには、新しい子猫は屋上には出さない、とお約束いただきました。もっとも、一度事故が起きていますから、出す気にはなれないと思います。

ベランダや屋上が低層階にあると、落下事故も危険ですが、「脱走」にも注意が必要。2~3階くらいの高さなら、猫にとって誘惑だらけの「屋外」に飛び降りてしまうかも知れないからです。メスの猫ちゃんがベランダから脱走し、数日経って帰ってきたので無事を喜んでいたら、なんと妊娠していて子猫が産まれてしまったケース、未手術だったそうです。他にはノミ・ダニなどの寄生虫がついてしまった話も聴いたけど、一番怖いのは感染症などの重い病気にかかってしまうケースや運悪く交通事故に遭ってしまったという猫ちゃんです。くれぐれも注意が必要ですね。

どんなに注意しても「完璧」ということはないから、万万が一のために、首輪(首が絞まらないように切れたり外れたりするもの)をし、首輪には電話番号などの連絡先を書いておくと対応しやすいですね。首輪は猫を探す時の「目印」にもなります。

また、屋外で首輪をした馴れた猫ちゃんを見かけ、「ひょっとして迷い猫かな??」と思われることがあったら、首輪を外してよく見て下さい。もしかすると「連絡先」が書いてあるかも知れません。ただし、触る時は咬まれたり引掻かれたりしないように気をつけて下さい。

続きます。

 

2011年/11月某日 くどいけいこ