コラム「猫の手も借りたい」№28 猫の手を借りてる
さて、私の近所(シマ)の「地域猫事情」はあれから(約1年前から)どうなったか。
昨年(2010年)夏に一緒に猫たちに餌やりをしていた「おじさん」が亡くなり、11月に私の知人に、アパートのおじさんの部屋に引っ越して来て貰った。
その知人には、同じアパートの住民の方々に「ご挨拶」回りをして貰い(当り前か)、猫たちの様子をおじさんに代わって見て貰った。しばらく様子を見たが、特に問題もなかったので寒くなる前に「猫ハウス」を戻し(この辺りまでは、コラム「ルーツといきさつ 上下」をご覧ください)、時々ドライフードを届け、朝だけハウスにいる猫に与えて貰っている。これは元々、おじさんが「ゴミを荒らす猫たちがいて困る」と初めた餌やりだと、亡くなってから近所の人に聴いたので、それもあって再開していただいたのである。
昨年7月、そのアパートの「通り」で営業していた「銭湯」が営業を止め、人通りは少なくなった。私の餌やり時間は変更せず22時頃であるが、その時間帯に歩く人はますます少なくなっている。
猫たちは、お陰さまでみな元気である。まず子猫(といってもとっくに成猫だが)。3匹の親から生まれた12匹のうち、残った3匹は現在もそのままである(里親探しをした子や地主さんが引き受けてくれた子が6匹、亡くなったり行方不明の子が3匹、差し引き残り3匹である)。
3匹は5歳になった。「光陰矢のごとし」である。
古参の猫はメスが4匹(例の「うらめしや~」のくーちゃんとか、キジトラちゃんとか)。足し算すると7匹でこれがレギュラーである。他に、来たり来なかったりのオスが2匹、これはこのコラムを書き始めた1年前から顔ぶれが変わっている。
ここ2~3年は、この数で固定しており、ここ5年(最後の12匹が産まれてから)、1匹の子猫も産まれていない。365日の餌やりは欠かせないが、それでも5年前に20匹ほどいた猫たちは半分以下になって世話もかなり楽になっている。
今いる猫は、高齢の子でも9歳前後ではないかと思われるが、極寒酷暑を乗り越え今のところ何とか暮らしている。夏場は食欲が落ちたり、冬場は風邪引きさんが出たりするが、食欲不振の時期はフードを工夫し、風邪引きさんには投薬をしたりと手間と経費がかかる。しかし命ある猫たちの世話に手を染めた以上、責任を持って見守って行かなくてはならない。
元子猫3匹は、オスの兄弟が1組2匹、メスのキジトラが1匹。このうちオス1匹とメス1匹は、とても可愛く馴れており、小さいうちに里子に出していたら今頃猫生(じんせい)も違っていたであろうと思うと、チクリと胸が痛む。この子たちの兄弟姉妹は里親さん宅で不自由のない暮らしをさせていただいているわけだから。「ごめんね」とつぶやくこともしばしばであるが、それでも当初6匹の行き先を見つけただけでも精一杯であったことは、当の私が一番よく解っている。でも、やはり何かにつけそう思ってしまうのも事実である。
猫の世話をするのに、残念ながら「猫の手」は借りられないが、みんなこのコラムに登場し、こうして私の役に立ってくれているわけであり、やはり「猫の手」は借りられているんだな。
2011年/9月某日 くどいけいこ
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