コラム「猫の手も借りたい」№27 「捨て猫」

このところ、「捨て猫」の話しをよく耳にする。

割りと馴れた、比較的栄養状態も健康状態も悪くない、生後数週~3ヵ月くらいの子猫が同じ場所に日を置いて捨てられたり、昨年も今年も何回かやはり同じ場所に捨てられた、ということもあった。

拾う(保護)人もこれまた同じ人で、そりゃあそうですね、捨てられる場所が同じなんですから。毎回大変困って「まただわー」となる。カラスに突かれるとか、交通事故が心配とか、特に1ヵ月齢以下の小さい子猫は世話をしないで放置しておくと衰弱して死んでしまいかねないので、致し方なく保護するようだ。

この「猫が捨てられる場所」にはちょっとした共通点(条件)がある。だから、「同じ」ところに捨て猫が集中することになるんだけれど。

共通点(条件)の筆頭は「置き餌」のしてある場所だ、ということ。

捨てる人はたぶん捨て場所を選ぶ時に、よく観察していて、捨てた猫が生き延びる可能性が高い場所を探していると思われる。万が一誰かに拾って貰えずノラ猫になっても、置き餌があり「世話をしてくれる人」がいれば生き延びられる確率が高くなるからだ。

まず1匹捨てられ、数日後同じ場所に更に1匹、それも数日前に捨てられた子と「きょうだい」じゃないか、と思われるような子の時があるから、捨てた人は1匹目で様子を見、上手く保護してくれたのを見届け、その子の兄弟姉妹を捨てたりするんではなかろうか、確認は出来ないけど。

次の条件は、人通りがそこそこで、車があまり入って来られない場所である、ということ。

逆に人通りがもの凄く多い繁華街とかだと、それこそ捨てる時に見つかってしまう恐れがあるだろうし。それから、捨てた猫がいきなり車路に飛び出して事故に遭ってしまうような場所では安心できないのであろう。

私が見聞きした「捨て猫現場」はそんな条件の揃った場所であった。 

さて、ここで「置き餌」についてもう少し詳しく書こう。

「置き餌」は「捨て猫」されるだけでなく、他の場所から猫が流れて来る大きな要因にもなる。餌やりをする人はまず、じかに道路や地面に置かないで容器に入れて給餌するようにした方が良い。でないと、そこに「餌」の匂いが着いてしまい、「置き餌」と同じ結果を生みかねない。

また、給餌中はその場所から離れずに与え、食べ終わったら容器を回収し放置しないことも重要である。

何時間も置きっぱなしにしていると、残った餌を求め他の猫を呼んでしまうことになり、結局知らない間に数が増えてしまい、猫を管理することが出来ない。

私が知っているあるグループは、数人で活動し「夜の餌やり隊」と「早朝の片づけ隊」の2班で行動している。

夕方から21時頃にかけて、数カ所に「餌やり隊」が多めの餌を置き、すぐに次の餌場に移動しまた餌を置く。そうやって1人が何カ所か担当する。残った餌は容器のまま翌朝まで放置される。翌朝5時半から(はやっ!)、今度は「片づけ隊」が昨夜の容器を回収して回る。

このグループは数年前から活動しているが、避妊・去勢手術をしてもしても猫は増えるばかり、今夏も知らないうちに子猫を連れた母猫が現れた、と嘆いている。これではせっかく活動しても猫は減らず、地域の方々にも申し訳ない結果しか生まれない。

地域ねこ活動を行ってノラ猫の管理をして下さろうとしているのなら、しばし立ち止まってもう一度よく考えてみていただきたいものである。 

むろん、「捨て猫」をする人が一番いけないのですよ、この行為は「犯罪」であることを認識してください。 

2011年/8月某日 くどいけいこ