コラム「猫の手も借りたい」№24  事情聴取  上

子猫の保護依頼があった。

依頼主さんのお話しでは、交番の隣の空き地に2匹のグレー色の子猫がおり、保護して里親さんを探してやりたいがすばしっこくて捕まらない、とのこと。早速、依頼主さんの案内で現地を下見に行った。

夕方、交番の横の空き地を見てみたが、子猫の姿はない。情報収集のために思い切って「隣の交番」で訊いてみることにした。

お巡りさんは、とても気持ちよく応対して下さった。「グレーの子猫が、この近くにいるとの目撃情報があるんですが・・・」に始まり、いろいろお尋ねした。まるで「事情聴取」だ。それも、「される」側ではなく、「する」側でである。なーんか面白い。

子猫は毎日、深夜になると2匹で現れるという。依頼主さんの目撃情報とも一致する。「ご飯を与えている人はいませんか?」と訊くと、「いませんね」とおっしゃる。そうか~、近辺に飲食店が多いから、お店の裏で「残飯」でも漁って凌いでいるんだろうな、とその時は推察した。

人馴れはしてないかと訊くと、近づくと逃げるそうで、触ったりは出来ないとのこと。

これは、キャリーバッグかなにかにご飯を仕込んで、キャリーの奥まで入ったところをタイミングを測ってフタを閉め捕獲するのが良いかな。

私は「ご存じでしょうが」の前置きの後、交番で「地域ねこ活動」のことを話し、子猫たちはこのまま放置しておいたら「ノラ猫」になるばかりであり、この2匹は幸い「保護したい」という方がいらっしゃるので近々保護したい、ご協力をお願いしますとお話しした。お巡りさんは「了解しました。本日非番の者にも申し送りをしておきます」とのお返事だった。私も長年生きてきたが、お巡りさんに事情を訊かれたことはあっても、こちらから事情を訊いたことはなく、いやはや、貴重な体験であった。

さて、後日私は、依頼主さんとともに子猫の保護に、またその交番を訪れた。

交番の話では「毎夜深夜になると現れる」とのことだったので、夜10時、雨の日だったが出掛けた。雨だから条件は悪いが、梅雨の最中の天気予報はしばらく「傘」マーク。相手が子猫だから早めに保護した方が良い。子猫は生後2カ月までは母猫から免疫を貰っているが、その後は免疫がなくなるので、風邪などの病気にかかりやすくなるからである。

交番の隣の空き地を探したが、いない。その周囲を懐中電灯で注意深く探したが、姿がない。私たちは少し待つことにした。

待つこと40分、いきなり依頼主さんの「いた!」という押さえた声、でもいささか興奮気味。どらどら、と懐中電灯で照らした先を覗くと目が合った、可愛い!!いました、全身グレーの子猫が1匹。生後2カ月半くらいか、丸々肥って健康そうである。

子猫の動きを目で追っていたら、交番の中に入っていく。交番の裏口ドアがレンガ様の石で閉らないように少~し開いていて、そこからちょろちょろ出たり入ったりしている。えっ?!と思った。

続きます。

 

2011年/6月某日 くどいけいこ