コラム「猫の手も借りたい」№23 うらめしや~ 下
決めたけど、さて、果して彼女は上手くトラップに掛ってくれるのか・・・仕掛けた時はドキドキもんだったが、何と運良く掛ってくれた。もっとも前回の捕獲から丸4年は経っていたから上手く行ったのだ。これが、術後すぐだととても無理であったろう。
レントゲン検査の結果は、やはり「骨折」であった。手首に当たる部分の少し上が、太い骨も細い骨も見事?!にポキンと折れていた。
ドクターと相談した。すぐ手術をして足を切開し、プレートを入れビスで留めて骨を繋ぐ。
そのまま1泊入院させ、その後は元の場所に放しましょう、ということになった。
そんなことが出来るのか、すごいことだ、医学の進歩ってすごい。そんなに短期間で、その後の様子見は不可欠だが治療が終了するのだ。そりゃあ治療費だって掛る(とほほ)が、それでも骨折は治り彼女は「うらめしや~」なんかしないで今後の猫生(じんせい)が送れるんだから、すごい!と私は思った。
手術をするので、傷の治癒に抗生物質は欠かせない。しかし、くーちゃんが続けてご飯を食べに来てくれるのか正直心配だったので、毎日ご飯に混ぜて与えるタイプの抗生物質ではなく、1度注射したら2週間効くものにしていただいた。万が一ご飯を貰いに来なくても問題ないようにである。費用はかかるがその方が安心だ。
翌日、彼女を迎えに行き、術後のレントゲン写真を見せて貰ったら、プレートが太い方の骨をしっかり繋いでいた。それで太い骨が安定すると、おのずと細い方の骨も納まるところに納まり自然に繋がるという。入れたプレートやビスは一生そのまま、抜糸も出来ないから、皮膚は感染症防止のためステンレス製の糸で縫って下さった。糸はそのうち自然に切れて抜けるという。
くーちゃんは地域に戻った。その夜は餌場に現れず、怒り狂ってひょっとしてもう二度と来ないかなー、と心配したが、その次の夜は何事もなかったかのように「ごはん~」と来た。長年築いた信頼関係があるからなのだろうか。何の事にも、とにかく良かった。これで、足の様子も見ることが出来る。その時、すでに「うらめしや~」はしていなかったから、骨が上手く繋がったんだなとわかり、嬉しかった。
なんとよく見ると手術後の前足に紫色のレッグウオーマーのようなものを着けていた。ドクターに訊くと「バンテージ」というものだそうだが、翌々日頃にはすでにとれて毛刈りの足が見えていた。
最初は例のごとく二次元で来ていたが(笑)、すぐに三次元で現れるようになり、手術からそろそろ1ヵ月、くーちゃんは、まだちょっとビッコだけど4本足で走っている。
2011年/5月某日 くどいけいこ
Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.