コラム「猫の手も借りたい」№20 地域猫の避妊・去勢手術 上

私はご近所の方たちと一緒に、この5年くらいの間に、近所のノラ猫たち20数匹ほどの避妊・去勢手術をした。

まず、私の「餌やり区域(シマ)」の猫たちを最初に手術した。しかし、それだけでは安心できない。私のシマの周りの猫たちも、私のシマに時々姿を見せるからだ。

オスは、手術が終了したメスを追いかけたりしている。無駄な努力だが。メス獲得の目的以外は「餌場」の開拓や縄張り内の見廻りなど、そんなところであろうか。メスはあんまり来ない(と思う)。しかし「隣の猫」だ、と放っておくと色々と私のシマにも影響する可能性が高く、近隣区域でメスが妊娠し子猫が産まれるとやっかいなことになる。

要するに、自分のシマの周りの猫も、特にメスを中心になるべく手術をした。そうしないと子猫が産まれ、数が増えるからだ。そうして手術しているうちにいつの間にやら「20数匹」という数になってしまった。

最初「するぞ~(手術を)」と決めた時は、2ヶ月間くらい毎週土、日に2~3匹ずつ、捕獲(保護)し手術していた。毎週毎週だから大変だった。どんなに忙しくても「猫の手は借りられない」が、その時はボランティア仲間の手を借り、保護器(トラップ)の準備、捕獲や手術のための動物病院への送迎(こっちは足か)をヘルプしてくれた。

さて、捕獲のし始めは、比較的簡単である。どの猫もが「手術」の対象だからだ。手当たり次第捕まえちゃっても良いのだ。どの子が捕まっても良し(手術する)である。

メスとオスとを比較すると、オスの方が捕まりやすい傾向にあり、逆に母猫は警戒心が強く非常に用心深くて、なかなか捕獲出来ない時がある。若いメスなどの「将来の母」予備軍も含め、「母はしっかり者」ということか。

捕獲が進むと猫たちは、先に捕獲された猫たちの様子を目の当たりにし「学習」するらしく「あの、金網の長四角のカゴは、危険らしい」と察知するみたいで、捕獲が段々難しくなってくる。ましてや、ピンポイントで「この子」を捕まえようとすると、更に難しい。猫も十猫十色だから、一度捕獲したのにまたオトリの餌に釣られて何回も捕まる呑気な猫がいる一方、トラップを持って行っただけで出て来ないくらいの慎重派もいるわけ。

さらに、捕獲された猫はというと、トラップの中で「この中は怖い!!」という危険信号(臭い??)を出すので、それがこびり付いたトラップでは、他の子は余計に「あのカゴ、危険なんだ!」と警戒する。従ってトラップは、面倒だが1回使う毎に洗って乾かす。そんなちょっとしたノウハウもあるが、それでもお目当ての猫を1匹も逃さずに捕獲するのはけっこう大変である。大半の猫の手術が終了した頃には、捕獲出来ない日も出て来る。ねばってもダメ、ということにもなるが、少なくともメスはやっておかないと、妊娠するとアウトだ。

幸い私のシマは、メスが比較的早期にぽんぽんと捕獲出来、ねばらなくて済んだ。それでも、雨が降ったりすると猫が現れず、翌週に延期となり予定が流れたりして困った。

続きます。 

 

2011年/5月某日 くどいけいこ