コラム「猫の手も借りたい」№9   ねこのごはん

「飼いねこのごはん」は選択がなかなか難しい。

ペットフード屋さんに行くとわかるが、猫のフードコーナーは犬のそれより種類が断然多い。以前に店員さんに質問したことがあったが、その答えは「猫の方が犬よりフードの好みがうるさい(こう言われたか定かではないが、他に考えてもぴったりの言い方が見つからない。意味は「うるさい」だった)ので、こうなっています」とおっしゃっていた。ドライとウエットでもタイプ・値段は色々ある。


子猫のうちは、育ち盛りだし、そもそもどのごはんでもビギナーなので、けっこう食べる。そんなになんでも食べていた子猫だが、成長するにつれ、どんどん選好みするようになり、「これは飽きた~」とか「みんな(人)の食べてるのがいい~」とか、すぐ言いだす。特に季節の変わり目で「うちの☆☆ちゃん、今日はちょっと暑いから食欲ないのかなぁ、心配・・・」てな時に決まって☆☆ちゃんは「違うのなら少しは食べられるかな・・・」とか言いだす。食欲なさそで「心配」だから慌てて違うフードを何種類か購入し、与えるとたくさん食べたりして、なーんだ、☆☆ちゃんのわがままじゃん、ってことが判るけど、もう時すでに遅く「明日もこれね!」って満足げな顔しながら舌舐めずりなんかされた日にゃあ、まぁ仕方ないか~とか言いながら、切り替えたりする。かと言って、どれでも食べるかって言うとそうでもなく、食べるものに行きつくまで何缶も開け無駄にした、などということも少なくない。年齢を重ねるにつれ、けっこう好みがうるさくなる傾向があると思う。

私は、あまり安価なご飯を与えるのは避けるようにしている。安価なごはんの中には人間の「ジャンクフード」に似た感覚のものがあるように思う。味が濃く脂肪分が多いから美味しい(らしい)のだ。人間のジャンクフードは、私も好きであるが、かと言って食べ続けると生活習慣病ってやつが待っている。猫も同じである(と思う)。

だから、私は猫のごはんは、たんぱく質や脂肪などの配分量を見ながら必ず自分で味を見てみる。ちょっと口に入れて見るのだ(もちろん飲まないで、ぺっぺっとし、うがいする)。ドライで、味が濃い目で脂肪分が多いな、と感じるのは注意している。

驚くのは、ウエットフードはほとんどが「塩辛い」ということ。サバ缶やさんまかば焼き缶みたいに、そのまま炊いたご飯の上に乗せて食べられる(食べたことないけど)、それくらい味がしっかり付いている。猫の体は人間の体の何分の1かの大きさだから、そんなに味濃くて大丈夫か?と思ってメーカーに電話して訊いてみた。そのメーカーさんのお答えは、「国内での塩分の基準値は守っています」というようなものであった。外国産のウエットフード、ドイツとかフランスとかのを食べてみたが、確かに国産のそれよりず~っと味が薄い(塩辛くない)。国によってけっこう違うのではないか(と思う)。

話を戻すが、だから私はフードは全部味見して与えることにしている。このところ国産でも、「塩化ナトリウム(要は食塩)」の量をかなり制限したウエットフードが出始めた。これは嬉しい。普段、「うちのネコちゃんは、ドライフードしか食べませんのよ」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、例えば投薬がある場合、ウエットフードに混ぜると与えやすいから、いざと言う時の大事なアイテムでもある。病院で出されるものは安全で、猫の健康状態に配慮されたものであることは周知の上だが(品質も良いが値段も良い!)、パッカンと開けてみると形のないペーストタイプのもので、これをスンナリ食べてくれる猫ばかりではない。食べなくてなかなか苦労させる子もいる(と思う)。そういう時にも、こういったフードが役に立つ時がある。

また、同じフードを与えていて「飽きた」、なんてなった時に安価なフードに切り替えると後が怖い。だってこの方が食べるんですもの、おまけに安いし~、とか飼い主さんもおっしゃる。結果的にジャンクフードに切り替えないように注意したいものである。

外猫ちゃんたちは、残念ながらごはんにもそうそう費用は掛けられないから、ある程度安価なものになる。そうすると、どうしても「ジャンキー」なものになってしまうのは致し方ない。その方が猫はよく食べる。長年ジャンキーを食べちゃった子は、身体に良い、高品質のフードに切り替えることが大変難しい。外猫を家に招き入れ、飼い猫にした人から、「ごはんが切り替えられない」という話をよく耳にする。やっぱり、ジャンクフードって美味しいんだね。 

2010年/10月某日 くどいけいこ