コラム「猫の手も借りたい」№309 歩道の先は大通り 下  

住宅と住宅の間の狭い「通路」にいる子ネコの保護の続きです。

相談者さんは通勤途中なのでご出勤、そのご近所の女性から改めてお電話をいただいた。
女性がおっしゃるには、住宅に挟まれた「通路」はとても狭く、人が入るのは難しいと思われる、とのこと。
こちらが捕獲器を持って伺います、というと、捕獲器がどれくらいの大きさのものかよくはわからないが、たぶん通路に入れるのはムリだと思う、そのくらい狭い通路だ、とのことである。

私は、持参した捕獲器がもし通路に入らなくても、私どもは行かせていただき、子ネコが保護(捕獲)できるまでお付き合いいたしますよ、と申し上げると、ではお願いします、というお応え。
私はその日はちょうど午前中外せない用件を抱えており、行かれてもお昼過ぎになる旨お話しし、その間子ネコが動かないように気をつけていただくということで、電話を切った。

たとえ捕獲器が使えないような場所だとしても、それ以外の方法で子ネコは保護しないと、本当に車道に出てしまうようなことになれば目も当てられない。
私は用件を済ませ、捕獲器や洗濯ネットなどを準備して現場へ向かった。

到着すると、女性が二人で迎えてくださった。両名さまともご近所の方らしい。
さて、現場を見たがなるほど、通路は人が入れないし、捕獲器も壁面に設置された木のボックスや多くの配線などがじゃまして、スンナリとは設置できない場所であった。
また、通路は歩道に面しており、歩道は4メートルくらいあるだろうか。
その歩道を抜ければ片側3車線の、車通りの激しい大通りである。

もう、ぞっとした。よかった、本当に子ネコが道路に出なくて。

しかし保護に失敗し、歩道を越え道路に出れば一巻の終わり、ということにもなりかねない。
絶対に失敗は許されない。

子ネコはもう少しで生後2ヶ月というところか、白茶の子で元気だ、よかった。
通行人が入れ代わり立ち代わり子ネコに近づこうとしたためか、かなり人を警戒していた。

私は、その通路の幅ぴったりに捕獲器を設置して子ネコを待ってみることにした。
もし、子ネコが空腹であれば捕獲器に誘い込めるかも、と考えたのである。
セットした捕獲器はほぼ通路の幅分に設置できたが、少し隙間があったので、私が持ってきたバックを押し込んで塞いで、様子を見た。

子ネコは、横からではなく捕獲器の上に登って出てこようとしたので、近づいて静止し通路に戻す。その後捕獲器の中にゆっくり入って行き、5分程度で捕獲(保護)できてほっとした。そのまま捕獲器ごと近所の女性にお渡しできた。

慌てず状況をよく確認し、一緒にお手伝いしてくださる人にうまく協力をお願いしながら、作業を進めていくことが大切だ。
子ネコが無事でなにより。

本年もよろしくお願いします。

2025年1月 くどいけいこ