コラム「猫の手も借りたい」№303 TNR先行型 上
「地域ネコ」「TNR」と言えば、都会の中で増えるばかりの ノラネコ の問題を解決すべく展開されてきた、ノラネコ、飼い主のいないネコと人が共生するための方法/システムであるが、このところ少し様相が変わってきたように拝察する。
この「地域ネコ」「TNR」活動が展開されてきて久しい。
この活動は功を奏し、かなりの場所でノラネコ、飼い主のいないネコ(以後 ノラネコ)が減少しつつあるように思う。
「TNR先行型地域ネコ」という言葉をご存じだろうか。
要するに、多くのノラネコを見かけたら まず不妊去勢手術を、シノゴノ言ってないで手術を先行して行って、その後のエサやり、見守りは術後やっていただこう、という考え方であると思う。
各自治体から不妊去勢手術の手術助成金の支援が受けられるようになった、動物愛護事業を謳う団体などが協力獣医師を募って無償で不妊去勢手術の提供をしてくださったりなど、住民が自腹で費用を捻出して行っていた不妊去勢手術が、無償、安価な費用で出来るようになっていった。
そんな中、団体であったり個人だったりするが、その地域はもちろんのこと、エサやりさんさえ確認するのを後回しにして、先行して多くのノラネコの手術を行うようなやり方で「地域のネコ」にしていくTNRがあるということであり、それが実行されてきているのだ。
しかし、現実的に「TNR先行型」でノラネコの手術をしてもその後の見守りが出来ないまま、また2~3年で元に戻ってしまっている地域があちこちに存在する、というのである。
これはどういうことか。
つまり、先行型で手術をしても、その後の見守りを地域に担っていただくことが出来なかったということだ。
せっかく助成金を使って手術しても、その後の見守り(管理)がない限りノラネコの問題は繰り返されるということである。
もちろん「先行型」で手術を行った団体あるいは個人のボランティアさんは、その後そのネコたちの見守りをお願いしようとされただろうと思うが、これが思ったほど簡単に行かない現実があるのだ。
続きます。