コラム「猫の手も借りたい」№299 トラミにゃ勝てないわ 18

先週、とうとうトラミの口内治療に踏み切った。
考えに考えドクターと相談し、様子を見ながら準備をしてのことである。

そもそも2017年頃からトラミの「頬を引っ掻くシグサ」はあった。
抗生剤や痛み止めなど、色々な対応をしてきたが、結局現在まで続いている。
数ヶ月前に「下の奥歯」と見られるものが抜け、床に落ちていた。
それで「もしや、ひょっとして」と微かな期待を抱いたが結果は変わらず。

とても痛いらしく、彼女は両の頬を激しく引っ掻く。
食べている時はもちろん、水を飲んだだけでもするようになり、見るに見かねた。
腎臓に問題があるので「麻酔」をかけての治療は大きなリスクを伴う。
それゆえ、ドクターとも何度も何度も話し合いを重ねて来た。

彼女をピックアップし補液の治療を始めてから、そろそろ丸4年になる。
命が危ぶまれた状態でピックアップした彼女が、まさかよもやこれほど頑張ってくれるなんて、ドクターを始め誰も予想をしていなかった。
これは喜ばしい事には違いない。
しかし、飼いネコにはなり切れない彼女の扱いは容易ではなく、口の中を見ることは全くできず、どうなっているのかわからない口内を心配するばかりの日々であった。

トラミは推定だが20才は過ぎていて、残された日々がそう長くないのに「痛いよ~、食べられないよ~」と訴える彼女をこのままにしておくのは、あまりに酷ではないか……

そうは言っても、全身麻酔の負担はとても大きく治療中に亡くなる可能性もあるが、それよりも治療後に腎不全が進行する可能性のほうが高い。
せっかく口の中の治療がうまくいっても腎不全が進み、食欲不振を招き結局食べられないでは同じことではないか。
それでも「痛い痛い」と苦しむ彼女を見て、治療に踏み切る方向に舵を切った。

治療は予約を取り、1ヶ月後と決まった。
腎臓の状態をよくしておくため、治療手術日を挟んで約10日間、毎日補液に通うことに。
それだって本当は、当人にも負担は大きいのである。
治療手術前はともかく、その後果たしてトラミはキャリーケースに入ってくれるのか、これも心配だった。

次に続きます。

2024年8月 くどいけいこ