コラム「猫の手も借りたい」№296 トラミにゃ勝てないわ 17

トラミの体重が「3キロ」を切って、さらに2,9キロを切りそうな状況になってきた。
トラミには本当に手を尽くし、ドクターはそれこそありとあらゆる手をかけてくださった。
これ以上は難しい、というところまできてはいる。
さてどうしたものか……

毎日毎日、トラミの夕食にササミを茹でる。
いつ頃だったか「ブランド鶏」のササミを食べさせたら、他のは食べなくなった。
う~ん、判っているのだろうか。
お高い「ブランド鶏」にすることに決めて、食べさす時は「お高いササミですよ、しっかり召し上がれ~」と声掛けする(笑)。

さあ、ここからである。
茹でて割いたササミを口元に私がつまんで運ぶが、彼女は「ぷいっ」ってする。
ここで諦めない。10分、15分、時々、口元に運ぶのを繰り返す。
彼女は変わらず「ぷいっ」を繰り返すが、どっかで「もう、おねえちゃん(私のことですよ)たら~」とパクっと口にすると、その後は続けて、つまんで口に運ぶササミを食べてくれる。
以前は、ササミ(それもお高くないヤツ)を入れたお皿を時間になったら前に置くだけで、そっぽを向く彼女に「今夜は食べないのね……」とやっていた。
が、今は違う、なんとしても食べてもらいたい、トラミちゃん。

そうやって私は、30分ほど格闘(?)するようになった。
そうすると、1本のササミ(お高いヤツ)が入った一皿をほぼ食べ切るようになってきた。
なんかトラミは「しょうがない、食べてやるか、おねえちゃん(シツコイですが、私です)がずっと傍にいて、差し出すからさぁ」と、言わば「ギリ」とも思えるような感覚で食べているような気がする。
というか、やはり長い付き合いの中、そういう関係が出来上がってきたのかも、と思うようになってきた。
彼女は私に気を使ってくれているのではないか。

私が毎日30分格闘(?)しているうちに、なんと体重は3キロ台に戻ったのである。
ずっと続く口内炎はひどいようで、前足で頬を引っ掻くシグサは相変わらず。
口の中を見せて欲しいが、ぜんぜん野生が残っている彼女。
「ぜったいぜ~ったいイヤ」と頑として聞かない。

と、この「コラム」を書いていたら、テーブルの上にあったポークソテーをひと切れ咥えて、ペルが逃げていく。
ちょっとペル、ダメよ~。

そのまま床に落っこちたソテー、咥えた部分は切ってペルにやり、残りは焼き直して私がいただいた。
もう、油断もスキもあったもんじゃない、ペルったら。
いや、私が悪い、注意が足りなかったね、ごめん。

トラミは、まだまだ元気で頑張って欲しいなぁ。

2024年7月 くどいけいこ