コラム「猫の手も借りたい」№279 ルーズスキン
私事で恐縮だが、気になっていた病気のため「検査入院」をした。
日帰りではダメで入院をしての検査となった。
29歳の時に入院した経験があり、実に30数年ぶりのことであった。
検査の1時間ほど前から「点滴」を行うことになった。
500mlのパックを2つ行うという。
けっこう長時間の点滴となるため、静脈血管は関節の部分は避けて取ることとなり、そこは血管が関節部分より細いし、表面に出ていないため、まあ、痛いわけです。
仕方ないなあ。
さて、点滴が始まります。
前腕のちょうど中程辺りの静脈を狙って針を入れますが、これがうまく行かない。
2回刺しましたが(刺された、が正しいか💦)ダメ。
結局、手首の甲部分の静脈から取ることになった。
1回目、2回目と前腕部を刺した時、血管に針が入らないため、刺したまま針で血管を探したが入らなかった。
いわゆる「血管が逃げる」状態である。
針はなかなか血管を捉えることが出来なかったが、これはひょっとして、人が血管を守るための防衛策なのだろうか、と考えた。
腕の皮膚が傷つくようなことがあった時に、血管は上手に傷をかわし血管が傷つかないようになっているのではなかろうか。
出血という状況は、人の身体に致命傷を与えかねないことだ。それを回避するように人の身体って造られているんだなあ、とぼーんやり想像しながら見ていた、痛かったけど。
そんな中、私はネコの「ルーズスキン」も頭に浮かんだ。
ルーズスキンとは、ネコのお腹の皮がたるんで下に垂れ下がっている状況をいう。
子ネコや若い子には見られず、ある程度年齢のいったネコに多く、お腹がたるったるになって肥満か?と勘違いされる場合もあるがそうではなく、これも敵から身(急所)を護るための防衛手段でもあるのだ。
ネコ同士のケンカや、他の捕食動物に狙われた際にお腹を咬まれた場合、キバが直接内臓を傷つけないように、皮が緩くなっているのだ。
今回、改めて調べてみたら他にも、俊敏な動きのネコが例えば「ジャーンプ!」と、大きなジャンプをした時に、皮がつっぱらないように充分な緩みを持つためでもあるそうです。
また、狩りで仕留めた獲物をお腹いっぱいに食べて、身体に蓄えられるように、とも書いてあった。
うちのペルもなにを隠そうルーズスキン。
歩くと、たるったるっ、とお腹の皮が揺れ、なんともはやかっこ悪い。
ま、これもネコであるゆえんなのだから致し方なし。
いや、人だって「ルーズスキン」あるのでは。