コラム「猫の手も借りたい」№264 地域猫セミナー 上
最近2回ほど、他地区の「地域猫セミナー」に参加してみた。
1件は東京都内、1件は埼玉県内である。
どちらもほどほどに盛況で、それぞれ30人くらいの方がお運び下さっていた。
両方とも定員が60名程度、どなたでもご参加ください、という内容であったため、私も参加することができた。
区内や都道府県というくくりではなく、広く参加を募って下さって、それはとてもありがたいことだと思い、この場を借りて御礼申し上げます。
さて、内容はどうだったかというと、地域猫セミナーと銘打ってはあったが、1件は「飼育崩壊」の話がほとんどであった。
その地域は、地域猫活動や、TNR活動が進み、ボランティアとしての捕獲活動が減ってきたのとは裏腹に、飼育不可になったネコを引き取って欲しい、受け入れて欲しいという要望がどんと増え、ボランティアとして限界を感じており、正直いつ辞めようか、と思っていると冗談交じりで講師のボランティアさんが話されていた。
まさにタイムリーな話で驚いた。
また、このセミナーに参加されたボランティアは私を含め他地域の方々もかなりいらっしゃり、終了後に集められたアンケートでも、「うちの地域も同じことで悩んでいる」というものがあり、やはり個々の飼育数はともあれ「飼育崩壊」が今後は大きな問題に発展していくことになるだろうことは、誰もが予想しうるのではなかろうか。
「飼育崩壊」の大きな特徴は、対象ネコが「飼いネコ」であること。
それによって、とても多くの自治体やお役所が支援してくださっている、「飼い主のいないネコ」の不妊去勢手術助成金の対象にならないことだろうか。
飼いネコは、あくまで飼い主の所有物であり責任は飼い主が背負わなければならない。
その飼い主が飼育困難になるのは、不妊去勢手術を怠り「自家繁殖」させてしまっているケースがほとんどだ。
数が増えすぎたことで、不妊去勢手術が自費ではとても賄いきれないという状況で資金の出処がなく、手術に踏み切ることが非常に難しい。
そうやって頭を抱えている間にも、ネコたちは雌雄を分けないことには繁殖は止まらず、ネコの数は増え続ける。この状況に陥ったら一刻の猶予もならず、すぐに行動を開始することが必須である。
飼育崩壊は、多頭になればなるほどメディアで取り上げられ、そのニュースを見ていると、民間の保護団体が入って、崩壊したお宅からペットを引き取る、という結果になっているケースがほぼほぼのように見受けられる。
これではハッキリ言って増やしたもん勝ち(言い方悪かったらごめんなさい)、殺処分をしない昨今では、引き取った団体が譲渡先を探す、という図式になってはいないだろうか。
こんなニュースを延々見せられたら、いざとなったら誰かがなんとかしてくれる、と飼い主が思ってしまい、崩壊し切ってしまうまで放置されることになっても不思議はない。
やはり、地域猫活動も「蛇口を閉める」ことを目的に動いているが、この飼育崩壊問題も同様で、蛇口を閉める、つまり増やさないように歯止めをかけることが、絶対に必要であると思う。
法的に縛りをかけることも視野にいれないと、もはや解決は難しいような気がしてきた。