コラム「猫の手も借りたい」№216 2回目の春

コロナウイルスが蔓延りだしてから、久しい。また、春が巡って来てしまった。
すでに1年以上が経過している。

第3波も収束しないまま、第4波に突入した感があり、収束したらと思っていた「活動再開」も、あれよあれよという間にずいぶん時が経った。
変異種なるものが猛威を奮い、不安なことこの上ないが、メールや電話でのご相談など、感染しない活動はやって行かれる。
私たちは本当に微力で、できることに限りがありますが、よろしくお願いします。

「ブチ」が、先ごろ亡くなった。 雄、推定17歳。
正直ここまで生きてくれるなんて思っていなかったので、そのことにも驚くが、突然亡くなったのも驚いた。

ブチは、2010年(h22)に私が屋外からピックアップした。
その時、右前足に致命的なケガを負っており、結果右前足を手術で切除した(過去の記事 コラム「ブチ №12,13」は【チームアーカイブ】からお読みいただけます)。

恐らく2004年頃の生まれ。5~6才くらいの時に他のネコに咬まれた傷が元であった。
ブチは、私がエサやりを続けていた中で突然姿を消し、約3週間後私の前に現れた時は弱り切っており、足を1本失いはしたが運よく命を救うことができた。
その後は、近所の個人シェルターで他のネコたちと暮らしていたが、そこが閉鎖されることになったため、どうしようかと考えあぐねた時、友人が「うちで預かるよ」と引き受けてくれ、友人宅で元気に過ごしていた。

その友人が「ここ3日ほど、ブチちゃんごはん食べないから、近所の病院で輸液してもらってきたよ。これで好転しないようなら、どうしようか」と連絡があったため、この際だからと、それまでブチがかかっていた、うちの近所の動物病院さんを翌日受診した。
ブチは輸液後も食欲は戻らず、舐めるタイプのおやつをペロリと舐めただけ、と友人。

血液検査、レントゲンなど、必要な検査をしたところ、状態が芳しくなく低体温にもなっていた。
入院して治療していただくこととなったが、翌日急変し、そのまま静かに息を引き取ったとのこと。
私は友人に、自宅で看とりたかったでしょうに、と話すと友人は、あの状態で自宅に連れ帰りそのまま亡くなったら、もっとしてやれることがあったのでは、と悔やむと思うよ、と。
自宅で看取りたいと思っても、こんなに急だと、病院で亡くなることも致し方ないということを経験した。

友人宅で5年間、美味しいごはんをパクパクと食べ、食べなくなって数日後急変し亡くなったブチ。苦しまなかったということはなかろうが、あっけないなあ、というのが正直な想いである。

いろいろありタイミングが合わず、私はブチを自宅に迎えてやることはできなかったが、この子は運のいい子でずっと優しい方々に見守られ、ここまで生きて来られたのだと思う。

何より、屋外から瀕死の状態でピックアップしたあの子が、17歳まで元気で過ごし大病することもなく逝かれたことは、ある意味幸せなことと思う私がいる。
2017年に亡くなったタマは、10年間も毎日投薬したり、晩年は輸液などの治療もし、亡くなるのも本当に苦しそうだったから。

ネコたちもそれぞれ、どの子もたくさんの想い出を残し、虹の橋のたもとで主人を待っていてくれるだろうと思う。

ブチ、さよなら。

2021年4月 くどいけいこ