コラム「猫の手も借りたい」№214 続 首輪

男性は、子ネコは可愛がるから譲渡して欲しい、とのことでしたが、お母さまと電話で話すと、男性とはギャップがあることが判りました。
そう、お母さまは、現状もヨシとされてはおらず、スプレー行為にも困惑されていました。
また、息子には悪いが、これ以上ネコが増えることも困る、とも。
結局、譲渡は諦め、その上に先住ネコちゃんの手術もこちらで引き受けることになりました。
病院までの交通費と手術代もお支払いいただける、とのことでした。

手術の日、お預かりに行ったところ、慣れた女の子でゴロゴロと言っていましたが、ふと首輪を見ると、パッツンパッツンで緩みがまったくなく、人差し指どころか小指さえ入れることができない状態になっていました。

男性に話を聞くと、子ネコの時にしたっきり、首輪の調節を一度もしたことがないというのです。
はー、可哀想に、、、、、よかった、ここで気づいて。
それに加え、首輪は、何個か空いた穴に金具を引っ掛けて調節するタイプで、カチンとワンタッチではめ込む型ではなく、私がその場で首輪を外すことさえできない状態で、これは獣医さんにカットしてもらうのが一番だと。
それにしても、男性がなぜ気がついてあげられないのか……心配になりました。

昔、まだ屋外に「ノラ犬」がいたころ、ノラ犬の中に首輪が首にくいこんで血が滲んでいる子がいる、というようなニュースが流れました。

小さな頃に遺棄され生きてきたのでしょう。
人を信じることができなくなっている、そんな状態のノラ犬の首にくいこんだ首輪、そのまま放置すると呼吸ができないばかりか、その前に首周りのケガの感染症などで死に至る可能性もあり、本当に可哀想な状態で、捕獲して首輪をはずすというような、そんな大変なことになったのを目にしました。
犬も警戒し、捕獲が長引いているなどと続報が流れると胸が潰れる思いがし、そもそも人が招いたことだが、遺棄した人はこんなことになるなんて考えもしなかったに違いない、と複雑な気持ちになったのを思い出しました。

さて、避妊手術を終え、首輪も無事外れた先住ちゃんを迎えに来ていただいた男性に、ことの重大さをお話し、生き物を飼うことは命を預かること、責任をもって注意して飼って欲しいと、やんわり諭したことがありましたっけ。

なんでもそうですが、首輪も利点と欠点があります。
危険は回避するように、上手に使っていただけたらと思います。

さて、うちのペルは、変わらず元気で暮らしている。
肝臓の数値は少し高めだが、2ヶ月に一度の定期検査では横ばいで、普通にしている。

このところ、刈ってあった下半身の毛も伸びたが、お尻周りも汚れることがなくなり、全身の毛が伸びた状態に。
ムックムクのもふもふで足が短め、北極クマの子供みたいで、まあ、可愛いこと(この親バカぶり、平にご容赦)。
しかし、来た当時(2018年春ですね)私に服従の態度をとっていたが、賢いヤツは(また親バカ)、私の顔色を見ながらどんどん本領発揮、いや本性か(笑)、私に甘えながらもイヤなことはイヤとはっきり主張する。特に嫌いなのが「毛玉」取り。
ハサミでも、ましてやバリカンなんか見せようもんなら「やめろ!」と強い眼つきになる。

だって、脇の下、絡みついてるよ~、ペル。

2021年3月 くどいけいこ