コラム「猫の手も借りたい」№130 ベスト

5月のなかばから活動を再開し、問合せやご相談事もぼちぼちだがいただいている。

うちの法人は、ネコのいわゆる「引取」は行っていないので、出来ることは非常に限られる。

「NPO法人」とは申せ、スタッフ(会員)は全員仕事を持って普通に働いている。
ネコを引取るどころか、「一時預かり」をするのもままならない状況にあるが、そちらはNPOを掲げてるんだからなんとかお願いできないか、というお問合せはけっこう多い。
みなさん、藁にもすがる思いなのは、察するに余りある。

私たちは、保護施設(シェルター)もなく、各人が普通の自宅に住んでおり、当然複数匹のネコたちを抱えているので(自分の飼い猫ですね)、「うちにはネコがいるので他の子は入れられない」とおっしゃる依頼者さんと基本的には条件は変わりない。

相談や問合せをいただき、ネコさんの「引取」依頼だとメールや場合によっては電話でお話を伺い、ご期待に添えないまでも、良い方法はないものかといろいろご提案しながらのアドバイスをさせていただくように心がけている。
1匹のネコさんを救うことでさえ、手間暇(言い方は悪いですが)かかる上に、費用もうんとかかる場合もあるので、ひとつひとつを確認しながらの対応となる。
なにがNPO法人だ、とお叱りを受けたり不満をぶつけられる方もいらしたが、現在は保護活動も少しずつではあるが世間に理解されて来たようで、「なんとかならないのか」と怒りをぶつけられる方は少なくなった。
要するに、保護をしようと思った人が責任を持ってネコと関わることで、そのネコを救うことが出来るのである。他力本願では救うことは難しい。

私たちも本当に歯がゆいばかりではあるが、それでも今までの経験則から良いアイデアを出すことも出来、それならなんとかなるかも、と解決に向け歩みを進めてくださる場合も少なくない。

今は空前絶後のペットブームで特にネコは注目され、ネコによる経済効果は「2兆円」以上と言われており、目を見張るものがある。
多くのメディアもいろいろな切り口で「ネコ」を取り上げてくれ、ありがたいばかりであるが、そうは言ってもノラ猫、地域猫、を解決に結びつけるのはまだまだ長い時間を要することであろう。

しかし、私はこの時代にボランティアとしてノラ猫、地域猫、に関わることが出来たことをとてもラッキーなことだと思っている。
少しずつでも上り調子な状況の中で、仲間や行政の方々、区民のみなさんとより良き道を摸索していくことの充実感はほかに例えようがない。

本当に微力な私、私たちだが、常にベストは尽くします。

 

2017年6月 くどいけいこ