コラム「猫の手も借りたい」№78 金太郎
金太郎との出会いは、数年前に遡る。
今は無くなってしまったが、ペットフード専門店の軒先をお借りして、毎週毎週土曜日の午後に里親会をしていた時だった。
その土曜日の里親会の仕舞い際、片づけをしていた最中にスタッフの携帯が鳴った。
その携帯の内容は、というと、携帯電話を掛けて来た人(スタッフの友人)の近所に数日前から「茶色のアメリカンショートヘア」の子猫が現れ、捨てられたのか迷ったのかは判らないが、ずっと鳴いていて困っているから相談に乗ってくれないか、とのこと。
さて、どうしたもんだかな・・・。まだ外にいる茶アメショーを何とか保護し馴らしていただき、その様子では里親さん探しのお手伝いは出来るけど、と返事を返したが、しかし一時預かりが出来る人がいないという。
しようがない、たまたま里親会当日で、決まった子猫の預かり先が1軒空いている。そこで預かっていただくようお願いしたら、快く引き受けて下さった。いつものTさん宅である。
さて、茶アメちゃんは保護出来るのだろうか、どの道保護出来ないとどうしようもないが、なんとスンナリ抱っこ出来るという。
早速連れて来ていただくことになり、動物病院の前で待ち合わせた。そうか、茶色のアメショーはMIXでも珍しく人気が高いからこれは大丈夫かも。健康診断の結果が良いといいがな。
待つこと30分、やって来た来た。しかし何と、よくよく見たらば、いやよくよく見なくても、来た子は普通の茶トラの♂(茶トラの多くは♂で♀はまれ)で、それも子猫とは呼べないくらいの大きさ、4ヵ月齢は過ぎていた。
話が違うなー、どこが茶色のアメショーなんですか?とつっ込みたかったが、それ以外は預かれないとも里親会を主宰している以上言えないな、と健康診断の後お預かりした。幸いにも健康状態は良好だった。
さて、Tさん宅で預かっていただいた茶トラくん(茶アメちゃん改め)、最初は不安な様子を見せていたが、数日で環境に溶け込みTさんを驚かせた。大人しく人にも猫にも馴れ、今まで預かった猫たちの中でも、ピカイチの性格だという。そりゃあ良かったが、しかし、でかい。あっという間に5ヵ月になってしまう。しっかり「中ネコ」である。
翌週の里親会に参加した。しかし、周囲が小さい子猫たちで溢れており、5ヵ月近い彼は「大きい」って感じ。その日は貰い手がつかず、いやー、困った、どうしたもんだか。
その翌週だったか、素敵な女性が里親会に来て下さった。お話を伺っていると女優さんで小さい頃から猫と暮らしており、今日いる猫ちゃんたちもみんな可愛い!とのこと。
思い切って茶トラくんを薦めてみた。
単身で暮らしているとのことで、女優さんなので生活時間も不規則でありお留守番時間も長い時がある、とのこと。それならこの茶トラくんはピッタリですよ、子猫だと体調が急変することがあるが、生後4ヵ月を過ぎるとぐっと安定するし、性格も穏やかです、と。
店内で抱っこしていただき、トライアルに入ることになった。
茶トラくん、現在は「金太郎 ~きんたろう~」という名前をいただき、今は女優さんのブログで人気者である。
彼女に後で話を伺うと、里親会に来た時もはっきり猫を飼うと決めて来ていたわけではないが、金太郎と出会ってパートナーにしようと思ったという。
金太郎にピンと来るものがあったとのこと。
あとはブログ「金太郎のおなか」でどうぞ。
2014年3月 くどいけいこ
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