コラム「猫の手も借りたい」№66 イチジク

rui te連日の猛暑、本当に辟易であるが、このところやっとと言うかちょっとと言うか、「かげり」が見えてきた、はー、良かった。

ギンギンギラギラ、ってこれは夕日か、日中の太陽でも使える表現だなぁ。
太陽がギンギンギラギラだった日よりは、外出した途端「もあー」とまるで真綿に全身を包まれた感覚、メガネは湿気で曇るし、結局、夏晴れの日って数えるほどしかなかった気がする。

本当に変な夏だった。記録にも記憶にも残る夏。
しかし、今後ずっとこんな夏だったら、いやだなー。

濡れ縁でお三時に、よーく冷えた西瓜にかぶりつく、風鈴の音も涼しげに、ってな夏。
旧歴で楽しむ七夕(8月7日)頃の澄んだ星満天の天の川、ってな夏・・・

数えたらキリがない。
あんな夏の日、帰って来ないのかしらね・・・

 

さて、うちの近所のお宅に植わっているイチジクの木。よく繁りこのところ熟した実もたわわ、重さで枝がシナッている。

そんな木を何気なく見ていた夜のこと。
バサバサと木が揺れ、梢から顔を覗かせたのは「ハクビシン(白鼻芯)」ではないか。

時々塀の上や路上をさささっと歩いていたのは見かけたが、果実の樹上では初めて見た。
街灯に照らされ、ハクビ(白鼻)がはっきり確認出来た。

近隣の数人と樹木を見上げていたら、ハクビシンは器用に電線に移動。なんと電線のT字部分に横たわり、しっぽをぶらーんとたらし、くつろいでいる。
余程空腹が満たされたんだな。
しばらくしたら、しっぽでバランスを取りながら電線の上を歩いて渡り、屋根の影に消えて行った。

この都会で「ハクビシン」とお思いの方もあろう。
うちの近所では「タヌキ」もおり(コラム№10をご覧ください)、23区内でも「野生鳥獣」はいるんである。

私はここ半年ほどで、何度もハクビシンを見かけており、それも2匹だったり(番 ~つがい~ か)、小さ目の子供だったりした。

雑食の彼ら、猫と異なりいろいろな種類のものが食せるが、そうは言っても簡単に餌が摂れるとは思えない。
昆虫なども食べるようだ。

今回の「イチジク」のように、大きな果実の樹木があるということは、本当に稀であろうと思う。イチジクも恐らく夜中に何度か来て食べているのではないかと思われる。

きっとお腹いっぱい食べられているだろう。幸せなことだ。

住宅が密集した都会の片隅でひっそり暮らしているハクビシン。

地球は人間だけのものではない。他の動物との共生も大切なことだ。

 

2013年8月 くどいけいこ