ｺﾗﾑ「猫の手も借りたい」№56　「かよちゃんはみた？！」

２月の寒い寒い金曜日、週末の東京都北区に大変なことが起こった。

当日私は仕事場で勤務中。電卓を叩かなくてはいけない部署にいるので、年度末に向けてのこの時期は本当に忙しい。
夕方から携帯にメールが次々に入るのに気がつき、ちらっと１通を読んだら私宅近くの友人からで、私宅からそう遠くないところで火事があり、近所が騒然としている、という内容で、えっ、とは思ったが、うちは幸いにも難は免れたようで、そのまま業務を続けていた。

その日も残業で、やっと勤務を終え駅まで行きながら溜まったメールに目を通す。ご近所さんからの数件のメール、次々読んでいくと、なんと５件ほど私宅近くで火事があり、どうやら「放火」ではないかということ。また、近くにある造り酒屋さんも燃え、まだ鎮火していないようだ、などの情報に混じって、ニュースを見たという遠くの友人からの「火事見舞い」もあった。

急に心配になって、買い物もしないでまっすぐに私宅に向かった。

うちに近づくにつれ、赤色灯を回転させながら消防車やパトカーが止まり、まだ物々しい。
うちの数軒先を見たらば、なんと「現場検証」の最中、え、こんな近くで事件が発生していたなんて、驚きである。そろそろ夜の９時であった。

幸いにもうちは、なにごともなく「たま」も普通に留守番をしていた様子。
まずテレビのニュースをつけた。やってるやってる、なんと７件の連続放火で、２軒が全焼、数軒が半焼、それでもケガ人が２～３名程度、ということで、不幸中の幸いであった。
布団に火をつけられた家が２軒、ガラスを割られ火を投げ込まれたらしい家もあった。
最初の家事は真昼間午後３時頃、それから次々放火は続き、最後は暗くなってからの夜７時半過ぎ、しかも半径５００Ｍほどの範囲での出来事だ。

深夜のニュースを見て、やっと全貌が見えて来た。よくもまあ、白昼堂々と７件も次々放火するなんて、とんでもないやつだ。うちの近所の「現場検証」のお宅は壁の塗り替え中で、家がシートに覆われ工事に使用する機材があり、それに火をつけられたらしい。うちだって夏から秋にかけて「壁の塗り替え」したよ。その時だったら燃えたのはうちだったかも。

最後の放火は、路駐の宅配便のトラックであった。火災のため、道路が規制され配達が出来なくなった。配達員さんがちょっとの間車を離れた隙に、窓から火を投げ入れられ運転台が燃えたとのこと。はー、本当に気の毒に・・・

その映像をニュースで見ていて驚いた。なんと、以前コラムで紹介した（№37～39「かよちゃん上中下」）あのミルクティ色の猫「かよちゃん」の通うアパートのまん前ではないか。
かよちゃん、ひょっとして犯人に遭ってるかもね・・・・

ま、かよちゃんがよしんば犯人と遭ったとしても、なーんの解決にも結びつかないけど。

犯人の一刻も早い逮捕が待たれる。

２０１３年２月　くどいけいこ