コラム「猫の手も借りたい」№302 昨今のムギちゃん 下

ムギちゃんへのエサやりの続き。
から揚げ(たぶん)を丸ごと食べた日は、エサ場にさえ来なくなった。
小さな庭を覗くと、食べものが蟻だらけになって転がっている。
私はすべて片付けて、いつものキャットフードのお皿を彼女の前に置くが、ちょっと口をつけて終わってしまうようになって来た。

人の食べものはネコにとって「塩糖脂」が多く、食せば当然ネコの健康に影響する。
ましてや、よそのお宅に断りなく「エサ」を置いたら、それは不法な行為に当たる(と思う)。
私はこの誰かさんと会うために張り込もうと思ったが、猛暑の中、熱中症の心配も出て来るので張り込みはあきらめ、時間をおいて何度か赴き「誰かさん」と会えないものか、と試みたが残念だが会えなかった。何度も室内と屋外を行き来するだけで汗だく、私も体調を崩した。

食べものはほとんどムギちゃんに食べられずに残っていたが、置いたままのそれをすべて私が片付けるので、誰かさんは恐らく、このお宅の方が「ネコのごはん、ありがとうね💕」とコンビニの紙袋やティッシュは片付けてくれており、それで「ネコは全部食べているんだ」と思っているのではなかろうか。
さて、どうしたもんだか……。

私は決心し、置き手紙を書いた。ハガキ大の紙に「お願い」をコンパクトにまとめ、ソーセージのある場所に置き、様子を見ることにした。
エサやりのルールに反していることも書きたいが、紙面が少なすぎ。
この置き手紙で万が一、そのお宅の方からクレームが来たら、私が状況をお話したらいいんだ、と腹は決まった。

さあ、ドキドキしながら様子を見に行ったところ、置き手紙はなくなっており、よく見ると大きなソーセージが直に雨水の排水口に突っ込んであり、お皿替わりの紙袋やティッシュはなかった。
周囲を探すとくしゃくしゃに丸めた私の置き手紙が捨ててあった。

その翌日から、置きエサは止まっているようだ。
最終日に「排水口」に突っ込まれていた大きなソーセージは、紙袋とかを敷いた上に置かれてはいなかったので、「これが最後」という誰かさんの気遣いだったのかな、とも思う。

ムギちゃんは、食事のペースが完全に狂ってしまっていた。
誰かさんのエサやりのせいだけではなく、この鬼のような残暑のあおりもくらっていると思われた。

幸い、彼女は少しずつ元のペースに戻りつつある。

ムギちゃんにエサをやってくださった「誰か」さん、ネコが可愛いでも可哀想でも、よそのお宅にエサを勝手に置いたら、気を付けないと「このネコがいるから、こんなことになるんだ」と虐待や駆除対象(したら犯罪ですよぉ💦)になってしまうこともある。
お気持ちはとても嬉しいですが、責任ある行動をお願いいたします。

屋外のネコをいろんなものから守るのって、本当に大変だ。

2024年9月 くどいけいこ