コラム「猫の手も借りたい」№265 地域猫セミナー 下
昨今、「ゴミ溜め込み症」という単語を時々耳にするようになってきており、聞いたことのある方もいらっしゃるのではなかろうか。
各地域で問題になっている「ゴミ屋敷」。これは人の性格のみに左右されることではなく、脳の障害や認知症など、いわば「症候群」的な場合もある、というようなことが分かってきている。
要するに本人の力だけでは止められない、らしい。
私が一番驚いたのは、収集しているもの(まあ、溜め込んでいるものですね)を手放すことに非常に苦痛を感じるということだそうである。
私だって昭和の女(年がバレる、ってとっくにバレてる(^_-;))ですから、おいそれと物は捨てられませんが、そういった生易しいものではなく、いわば病的に手放せない、処分できないということみたいだ。
「ゴミ屋敷」と「ネコ屋敷」はセットが多いことも知られてはいるが、ネコの収集癖がある人は片付けがヘタクソな傾向があるんだろうか、それとも「ゴミ」というのは他人がそう呼ぶのであって、本人からしてみれば、それは決して「ゴミ」ではないわけであるから、やはり「ネコ」も「ゴミ」も同様に収集してしまうのか……。
いずれにせよ、問題であることには相違ない。
海外ではすでに、その類の症候群に対し「治療」が始まっているとも聞いている。
こんなところを総体的に判断すると、やはり物でもネコでも収集し、それを手放せない人がある程度存在するということである。
どうやって早期発見し、その人の所有物であるネコをどうやって手放していただくか、これを考えていくということである。
以前、大きな保護団体さんの話を聞いたことがあり、そこには多頭飼育で「飼育不可」になった人のネコが多く引き取られていた。不妊去勢手術をし譲渡をしなくてはならないから、本当に本当に大変であるとつくづく思う。
その団体さんでは再発を防ぐために、ネコを引き取った先には月に一度電話を入れ、確認をしていると言われていた。そうでもして防御しないと、きっとまた始まってしまうのだろう。
さて、セミナーのもう一件は正真正銘、地域猫活動のお話だった。
ちょっと郊外の、大きな一軒家が立ち並びまだ畑が残っている地域。
ノラネコのことにも、「まあまあ」とみなさん目くじらを立てず、寛容な方が多いとのこと。
都会の、いわゆるベッドタウンと呼ばれる地域とは、ちょっと違うのかもしれないなあ。
基調講演の後は、屋外のネコトイレについてだ。
以前は、プランターに土や砂を入れて置くのが主流だったが、今は「土」がある場所の土を柔らかく柔らかく耕しておく。まあ、プラスαウンチのカケラや、オシッコの匂いがついた土を少しだけその場所に入れておく。それでもネコが使わないようなら、これもホンの少し、マタタビをふっておく、というところか。
ネコは柔らかい土や砂が大好き。その条件が満たされていればよいのである。
ただし、近隣の苦情があって、「ネコトイレを設置しました」とアピールしたい時は、プランターなどの容器を使った方が目立ってよい場合もある。その時は、トイレの位置もネコにとって使いやすい場所であることに加え、クレームがあったお宅からも見えるようにすることも大事である。
2時間たっぷりのセミナーだが、終了した後も参加者の個々の相談事に対応するのが常であり、いくつかの小さな輪が出来ていました。