コラム「猫の手も借りたい」№215 ご近所さん
私がここに越して来てから早いもので、20年以上になった。
近隣のお宅はご高齢の世代から次世代へと代わり、小さなお子さんのにぎやかな声が聞えるようになった。
そんな中で、数年前にすぐ近所に、私よりちょっと年上のご婦人が越して来られ、お互い故郷が近いせいもありお付き合いするようになった。
ご婦人は、Yさんとおっしゃる。
Yさんは、このシマのネコたちに興味を示され、くーやトラミ、なっちゃんと自然と馴染んでくださり、くーとトラミは、Yさん宅に置かせていただいた「ネコハウス」で過ごすようにまでなっていた。
また、今から3年前の2018年春、ペルが現れうちの子になるまでの数ヶ月、見るに見かねられたようで、心配してくださった。
ペルが私宅前で倒れ私が保護した時は、ペル(その頃はペルではなかったけど)を心配し、その夜、うちに来てくださった。
保護した事情をお話すると「よかった、安心した」と何度も言ってくださり、帰って行かれた。
もし、Yさんがもっとお若かったら、きっとペルを保護してくださったに違いなかろう。
それからも、くーとトラミのことは特に気にかけてくださり、お会いする度に2匹の話をするまでになった。
昨年、私が実家に帰っている数ヶ月の間に、Yさんはご自宅でケガをされ入院なさったとのこと、私は帰京した時にそのことを知った次第だ。
その間、くーが来なくなり、トラミも体調を崩してしまって屋外からピックアップすることになってしまった。
Yさんとは電話で多少会話はできたが、ゆっくりお話はできず、ネコたちのことをお知らせするのにどうしたもんかと考えた。
そうだ、と思い立ち、拙い私のコラムを印刷し入院先にお届けした。
Yさんは、「何回も繰り返し読んだわよ。それに、同室の方々にも読んで聞いていただいたんだよ」と言ってくださった。同室の方は、たまたま動物のお好きな方々でいらしたらしい。
本当にありがたい。こうやって、同じ想いを分かち合える人がいてくださるのって、なんて気持ちが楽なんだろう。
Yさんが退院された時には、Yさんの帰りを待つ子は誰もいなくなっており、「姿が見えず、寂しいわ」と言われた。
その後、私の携帯で撮影した、くーとトラミ、なっちゃんの写真があったので紙焼きにしてお渡しすると、とても喜ばれた。
それからも、トラミのその後の経過は、コラムを印刷してお渡ししている。
「時々、いただいた写真を取り出して見てるのよ、可愛いねえ……」と言ってくださると、写真は撮れる時に撮っとくもんだな、と実感する。
ネコたちにも、そして私にも寄りそってくださり、折に触れあの子たちの話ができることは嬉しいことである。
こうしてご近所付き合いが続き、お茶を飲んだりおかずをいただいたり。
今はコロナで密は避けて電話でお話するくらいだが、この結びつきにネコたちもひと役買ってくれ、また「ネコの手」を借りてるなあ。