コラム「猫の手も借りたい」№157 便秘
このところ、私の周囲でネコの「便秘」で困っている人が何人かいらっしゃる。
「下痢」と違って「便秘」は、解りにくいと思うし、特に「複数飼育」の方は、解りにくかろう。
確かに、人でも「便秘」は怖いが、自分の状況を話せないネコにとってはさらに、怖いなあ、と思う。
私も実は高校生の時、便秘で病院に行ったことがあった。
「数日間出てないな」、と思っていたが、次にトイレに行った時にはすでに、硬くて自力で出すことが出来なくなっていた。
私はすぐに受診し処置を受け、今後は便を硬くしないように気にかけて、それからは「便秘」はなくなった。
人は、自分の状況を理解し、対策を立てることが出来るが、ネコはそんなことが出来るはずもない。
だから、飼い主さんが毎日よく観察し、飼いネコさんに何が起こっているのか、気を配る必要がある。
ネコは、人の人差し指1本分くらいの便を、1日1回排泄する、などとどっかで読んだことがある。
メスの子はそのくらいの量だったが、オスは、人差し指2本分くらいの便を、毎日1回しており、便量は個体差があると思われる。
食しているフードによっても異なると思う。
それまではスムーズに排便出来ていたのが、なにかの加減で「便秘」になると、本当に大変である。
一度で済むこともあろうが、繰り返すこともあり、そうなるとやっかいである。
人の便秘では一般的に使われる「浣腸」。
いちじく の形のものがよく家庭でも使われているのではなかろうか。
赤ちゃんは割と起こるようで、硬くなった便を出しやすくするのに「浣腸」は使われる頻度も高いように思うが、ことこれがネコになると、体の小さなネコには大きな負担になり、そう簡単には使えないようである。
それから「摘便」という、直接ネコのお腹に触れ、外側から便にさわり柔らかくしたものを、指でかきだす処置がある。
これも、硬い硬い便を触るので腸に傷がついたり、ネコのオシリに人の指を入れるため、当人には大きな負担になることは想像に値する。
「便秘」の原因としては、もちろん胃腸障害など消化器系の疾患のこともあるが、「脱水」によることもあり、ネコに多い「慢性腎不全」とも関連がある場合も否めないようだ。
高齢になると特に注意が必要である。
一番問題だと思うのは「便意」を感じないことには排便出来ないことで、例えば人のように、自分で注意して積極的にトイレに行こうとか、便意を感じたら我慢しない、などの対応が出来ないこと。
そうならないように早めに気付き、「慢性」にしないことも大切であろう。
「慢性便秘」で怖いのは「巨大結腸症」に移行してしまうこともあるようで、そうさせないように食い止めないとならない。
2日程度出なくても、便の状態(硬さ)によっては、当人には大きな負担になることもあり、油断は禁物である。
昨年亡くした「タマ」も最期に食事が摂れなくなったから、と油断したことで「便秘」を引き起こし、摘便の処置を余儀なくされた。
当人には大きな大きな負担であったろう。
後悔してもすでに彼女はこの世にない。
ごめんよ、タマ。