コラム「猫の手も借りたい」№115 小さな知恵者
私たちの活動でとても助かるのは「里親探し」をする時に、その対象の猫・子猫を預かり、馴らしをしながら様子を見て下さる方、いわゆる「一時預かり」さんがいらっしゃること。
私のシマにもお一人いらっしゃり、シマ内での「一時預かり」をお願いしている。
私のコラムに度々登場する「Tさん」がその人である。
Tさんは、ご家族で自営でお店をなさっており、そのお店番の合間を縫って預かった子をお世話をし、馴らしをして下さる。
今は大きくなられたが、お孫さんが3人、男の子ばかり(Tさんは広い敷地に二世帯でお住い)。
皆さん、申し上げることもないが猫好きのご家族だ。 Tさん夫妻、ご長男さん夫妻、そして3人のお孫さんで三代がご一緒なので、若い世代からご年配まで、撫でて抱っこして遊んで下さるので、お子さんのいらっしゃる里親さんでも猫がお子さんを怖がることがなく、スムーズに引き渡しが出来た。 本当にありがたいし、嬉しいことである。
3兄弟くんたちも、私の背丈を追い越すような年齢になられたが、一時預かり猫ちゃんたちは歓迎で、入れ替わり立ち替わり遊んでくれて、猫たちも嬉しそう。
思えば、いったい何匹をお預けしたか。 この間指折り数えたが、20匹は優に越えていてびっくりした。
私がお願いした子も多いが、捨てられたり迷ったりした猫・子猫をご家族が拾って保護しTさん宅の猫になった子もいる。
Tさん宅には現在、「ミッキー」と呼ばれるオスの茶白がいる。 なぜ名前がミッキーかというと、背中の模様をよく見ると、ミッキーマウスがいるように見えるのでその名がついた。
神様も粋なことをなさるもんだ。
「猫の背中」という白いキャンバスに、「ねずみ」のミッキーマウスをお書きになるなんて。
さて、この子は、小さな小さな、やっと目が開いたばかりくらいの、掌(てのひら)に乗るような時にT家にやって来た。
3兄弟の真ん中、次男坊(その時は小学校低学年)のAちゃんが拾って、大事に連れて帰って来たのである。
その「連れて来方」が奮っているとおばあちゃん(Tさん)。
店番をしていたら恐る恐るAちゃんが現れた。 胸には大事そうに茶白の子猫(のちのミッキー)が。
おばあちゃん(Tさん)を下から見上げ「くどいです・・・」と私の名前を名乗りながら子猫を見せたという。
私が子猫をお願いする手口(笑)を子供ながら習得したらしい。 Tさんは思わず大笑いした、と話して下さった。
ミッキーも無事Tさん宅の猫になり、立派に成長した。
3兄弟も大きくなって、学校の部活動も運動部だったりするから体格もよろしく、メキメキ身長も伸びていて、ちょっと会わないと「おっ!!」と思う。
それでも小さい猫たちを可愛がる優しい心は、まったく変わらず昔のまま。
T家の皆さん、これからもよろしくお願い致します。