コラム「猫の手も借りたい」№100 100回記念

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お陰様で、コラム「猫の手も借りたい」~ある猫ボランティアのひとり言~ は、今回で100回を数えることになりました。本当にありがとうございます。
私が「動物ボランティア」として活動することになったのは、あるご夫妻との出会いがきっかけでした。

ボランティアを始めてから、そろそろ丸10年が経とうとしている。 「光陰矢のごとし」である。
現在の住居に引っ越して来てから、自宅周辺の「ノラ猫事情」が気になった。 区内の動物ボランティア団体さんを探し連絡を入れ、その団体さんに相談をしたり定例会でお話を伺ったりするようになった。

そもそも私は、自分が「ボランティア」なるものに首を突っ込むなぞ、予想だにしていなかった。 その一番の理由は、仕事が忙しく時間が取れないこと。 まあそれも確かにそうだが、いわゆる「奉仕活動(口幅ったい言い方でごめんなさい)」に自分が参加するなんて、考えたこともなかった。

私がなぜ、このボランティア活動に参加することになったのか。 それは、Оさんご夫妻からお誘いをいただいたことに端を発する。

Оさんご夫妻は私よりひと回りほど年齢が下なのにも関わらず、ボランティア歴は10年ほど長い。
私も仕事が忙しかったが、彼らは私に輪をかけて忙しい人たちなのに、一生懸命ボランティア活動を、それこそ寝る間も惜しんでされていた。

最初のきっかは何だったかというと、私の家のすぐ前の駐車場に小さな、生後2ヶ月に満たない仔猫が捨てられた。しばらくの間仔猫は10分置きくらいに「ニャアニャア」と鳴き、また黙る。母猫を呼んでいるのだ。その繰り返し。 そのまま一夜が経過したが、母猫の迎えはもちろん、誰一人手を差し伸べる人もなく、だんだん小さくなって行く仔猫の声に「どうしたものか」と頭を抱えた。

残念ながら、そう簡単に子猫を保護には踏み切れない。保護したからには責任を持ってその子の行く末を決めてやらなければならない。手間暇も費用も、何より覚悟が必要である。 そうは言えども、このまま放置しておくとこの仔猫は死に至るかも知れない。だが、小さい仔猫だけに保護後もフードと水を置きっぱなしでお留守番させておくのも難しく、仕事で長時間家を空ける私は、思案にくれた。

その時、ご夫妻が声をかけて下さった。周囲に母猫の姿もなく、そのまま放置したらその仔猫が死んでしまう危険があるなら、迷わず保護してくださいと、手を差し伸べてくれた。 動物病院を受診した仔猫は弱っており、しばらく入院することになった。

ご夫妻は、仕事で見舞うことが出来ない私の替わりに、毎日病院に様子を見に行って下さり(くどいようですが、決して暇な人ではありません)、幸い仔猫は元気になった。 ご夫妻は一緒になって里親さんを探して下さり、子猫は無事に貰われて行ったのである。

私は、おふたりの行動力に感謝した。 ご夫妻は、自分のシマ(私宅周辺)に遺棄された仔猫を救けたいと願う、くどいさんの活動に協力したまでです、と言われたが、いやはや頭が下がる。

お付き合いしてみると、非常に勉強家で知識の習得を常とされていた上に、区役所などの行政機関にすすんで顔を出され情報交換をしたり、また依頼があった区民と、行政との調整も努められ、ボランティア活動に尻込みしていた私は感心してしまった。 その勤勉さ、熱心さ、何より動物と人を救いたいという気持ちに私は打たれたのである。

それからは、おふたりが声をかけて下さった時はすすんで活動に参加するようになった。

ご夫妻には救われ助けられ(二重のふたえ ですね)、おんぶに抱っこで、すでに10年以上経った。 ボランティア活動は本当に大変で、楽しいことより苦しいことの方が多く、何度も挫折しそうになったが、今も続けられているのはご夫妻のお陰であり、感謝している。

これからも出来る範囲で、ボランティアを続けて行かれたら幸せである。

2015年8月 くどいけいこmachi_beret - コピー