コラム「猫の手も借りたい」№101 TNR

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8月の半ばから、毎週末に子猫とその親猫の手術のための保護(捕獲)が入った。

春生まれの仔猫も、生後5ヶ月を過ぎ、ようやく避妊去勢手術が出来るようになったので、母仔一緒に手術をすることになった場所が重なっていた。

7月頃に、母猫だけを手術しようと試みたが、仔猫もいる中で母猫だけを捕獲するのはけっこう難しい。そこで、仔猫も大きくなった段階で一緒に、という運びになった訳である。

今でこそ涼しくなったが、今年は猛暑が続き、その後はずっと雨や曇り。猫たちの捕獲は天候にも大いに左右される。雨降りだと屋根がない場所での捕獲は出来ないからである。 色々な条件を鑑み、1件1件、依頼者さんと確認しながら捕獲の予定や段取りを決めて行く。

手術当日の捕獲は、猫たちを空腹にしておかなければならない。人と同様、麻酔による誤嚥事故の防止が必要だからだ。そのため仕掛ける餌の量にも気を使う。 夜の捕獲だと、翌日の手術で病院に持ち込むまでに時間が十分あるため、胃の中の食物は消化してしまうからほとんど心配は要らない。

しかし今夏のあまりの猛暑に、捕獲器に長く留め置くことにより脱水などを起こさぬように、気をつけなければならなかった。

ここ数カ月は複数の依頼者さんからオーダーが入っており、従って毎週毎週土日が潰れることになったわけだ。

私も会のスタッフもフルタイムで働いているため、週末は貴重な時間であるが、それでもスタッフで調整しあい、捕獲に向かう。
どの現場も、そう簡単にすべての手術が終わることはないので、数回に渡り捕獲に入ることになる。

現場に伺うと、捕獲器を最初に見た人は「え、こんなんで??・・・・」と不安な表情になられる場合が決して少なくない。 しかし、いざ捕獲が始まると、その成果にびっくりされる。もちろん捕獲器も使い様である。ちょっとしたコツが必要だ。

最初は「・・・」だった依頼者さんも、捕獲がうまく行くと表情が変わって来る。
のちにいただいたメールでは、「庭を横切る猫たちを見ると、いつも不安な気持ちに駆られたが、手術済みの猫たちが横切っても不安な気持ちはどこへやら、にっこり笑って様子を見られるようになった」そうである。
私たちが遣り甲斐を噛みしめる瞬間である。

現在どの現場も、仔猫が数匹残るのみとなっている。
もう少しである。

2015年9月 くどいけいこmachi_beret - コピー