コラム「猫の手も借りたい」№14 正月明け 上
お正月もとっくに過ぎ、年末年始の休みもあっという間に過ぎ去った。その間ご挨拶もせず、コラムも更新せず失礼致しました。本年も くどい の「猫の手も借りたい」、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、暮れから寒い。なんという寒さだ。風があるとなお、寒さを強烈に感じる。
寒さ対策に、私のシマの猫たちには、「発泡スチロール」のハウスを設置している。なんせ場所がないから、私宅の敷地内とアパートのおじさんの自宅前に置き、1匹1個のハウスには座布団を敷き、毎夜カイロ(20時間保温用)を取り換えるという更なる面倒なことを冬場はする。猫たちは、この寒さになってからは毎日毎夜ハウスに入っているらしく、その証拠に猫の体温に温められカイロが冷めずに残っている。猫が入っていないとカイロは冷たくなってしまっているからすぐ判る。
ハウスの発泡スチロールは、S協さんとかが毎日要る分だけの食材を持って来て下さる、あのくらいのサイズで、蓋があるものの側面に猫の肩が通るくらいの穴をあけ、私はそれを更に段ボールで覆う。発泡スチロール素材は猫が爪を砥いじゃうことがあり、白いつぶつぶが粉雪のようにパラパラ出てくるので、そうならないように段ボール箱にスッポリ入れてしまうわけである。
発泡スチロールは、保温効果が他のものより圧倒的に高いので、例えば「段ボール」だけのハウスとかとは比較にならないほど暖かい。試しに段ボールと発泡スチロールでハウスを作って並べて外に置いておくと、間違いなく猫は後者に入る。まあ、こうやって何とか冬場を凌げるようにしてやっているわけである。
実は昨年の夏、「アパートのおじさん(コラム№2 "外猫の食事タイム"で紹介) 」が亡くなった。入退院を繰り返されていたので心配していたが、鬼籍に入られてしまい、長年近所でお付き合いさせていただいていたので、とても悲しく残念であった。それにおじさんが亡くなったことで、猫と私はとても困った。猫たちはずっとおじさんからごはんを貰っていたし、その上アパートの前には猫たちのハウスがあったからである。
私はいったん猫ハウスをアパート前から撤去した。おじさんのご葬儀やいろいろなことが起こるであろうから、人の出入りが少なからずある中では猫も居場所がないと思ったからである。夏場だったから、猫たちはどこででも過ごすことが出来るであろうし。しかし、独り暮らしのおじさんが借りていたアパートだから、まったくの他人様が入居されたら猫ハウスを戻すことは不可能であろうと思うと、心底困った。
そうなって最初にしたことは、アパートから遠くない場所でハウスを置くところはないか、探し回ることだった。歩いてあちこち見てみるが、良い場所は見つからなかった。次にしたことは、そのおじさんの部屋に引越して来てくれる友人、知人はないか、これまた探し回ること。よしんば引越ししたいという友人、知人がいたとしてもアパートの間取りや地の利の条件が合うかなど、そんなに簡単に話は進まないのではと思ったが、予想通り非常に難航した。
夏が終わる頃、やっと引越しの条件が合う知人が現れた。今度はその知人と一緒に不動産屋さんとの交渉をしなければならない。幸い、そのアパートを借りられる運びとなりほっとしたが、おじさんは長年このアパートに住んでいたので、内装を全面的に直さないとならないそうで受入れまでに時間がかかり、逆に知人が旧住宅を引き払う期日が来てしまい、急場しのぎで別のアパートを借りるなどの紆余曲折があった。
そこまでしても、どうしても猫ハウスを戻してやりたかった。ずっとハウス暮らしの子たちが、おいそれと他のネグラを見つけられるはずもなく、そうなると冬を越せない子も出てしまう。それもノラ猫の宿命と言われればそれまでであるが、何とか出来るものならしてやりたかった。それは、長年この猫たちを世話して来られたおじさんへの、せめてもの供養だと思った。
続きます。
2011年/1月某日 くどいけいこ
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