コラム「猫の手も借りたい」№241 トラミにゃ勝てないわ 9

トラミさん、なんと1年6ヶ月目に突入、低空飛行ながら彼女らしく暮らしている。
ここのところの経過は、まあまあだった。

昨年の暮れ頃食が落ち、どうしたもんかと案じたが、幸いにも食が戻り安定していた。
口内になにかあるらしいのだが、鎮静や麻酔が使えないので確認ができない。
最近また、食べると途中で止め、頬をひっかくしぐさをし心配している。
なんだかんだ言いながらも食べてくれているが、激しく頬をひっかくのを見ると、本当にしのびない……。

顔の表情も浮かないように見え、生活の質も落ちるように感じる。
さあ、どうしたもんだかなあ。
ドクターと相談したところ、薬を変えてみようということになった。
同じ薬を使っていると効きが悪くなることもあるためで、打てる手があれば、なんでもしてみる価値はあると思う。

屋外からピックアップ後、1年半も経過しているが未だに触れない(苦笑)。
それでも、部屋の中で自由に生活している。自由といっても「第一」「第二」と呼んでいる『隠れ家』があり、自分で見つけた居心地の良さそうな棚の隙間などに居場所を見つけ、そこで寝起きし、時々爪研ぎまで来て爪を研いだり、人の目を気にしながらも部屋をちょこっと探検したりするようになった。

一番問題は、週に2回の病院受診で、その時は「キャリーバック」に入ってくれないとだが、いやだろうが、ちゃんと入ってくれて、一度も受診を休んだことはなく、お利口さんである(親バカ)。

名前を呼ぶとちゃんと「にゃお」と返事するし、トイレを使った後は鳴いて知らせてくれるようで、お世話をしてくれている友人も、感心している。
補液治療をずっと継続しながらの毎日、屋外に戻れもせずだし、戻ってももうパートナーの黒ネコくーちゃんはいない。それどことか馴染みのネコはすべていなくなり、たった一匹でいるのも寂しかろう。

もちろん、体調がよければそれもいいだろうが、トラミちゃんも年には勝てない。
こうなると、美味しいものを食べるのが本人も私たちも一番と思う。
食は、加齢が進むにつれて本当に大切で、極端な食制限はかえってマイナスで、お好みの食べ物を制限しないのは人も同じである。
食べることが楽しみなのは、生きているからであり、私もこのコロナ禍で色々な制限、制約がある中での生活で、食べることは制限のない、欲を満たすものと思っている。

トラミちゃんも、好きなものを食べて欲しいが、口内に問題があるとそうもいかないようであり、見ているほうは切ない。
それでも好物を入れたお皿を差し出すと一呼吸おいて食べだすトラミちゃん、可愛いし、ほっとする時間である。
好物を切らさないように、切れそうになるとなにはともあれ調達に、私は何時でも出かけていく(笑)。

それくらいしかしてやれないもんね、トラミちゃん。

波があるけどひょうひょうとして、マイペースの彼女が可愛い。
毎日、夕ごはんを手作りして行くよ、これからもずっと。
待っててね。

2022年3月 くどいけいこ