コラム「猫の手も借りたい」№225 ムギちゃんの置きエサ 下

さて、エサを置いて立ち去る人は、「これでネコは、お腹空かなくてすむな~」と思われるだろう。もちろんそれはそうだが、ネコが食べ残せばどなたかが片づけをしなくてはならないし、それを怠れば、カラス、ゴキブリ、アリやナメクジなどのエサにもなるので、近隣の方にとっては非常に迷惑な行為であり、結局「ここにネコがいるからだ」と、ネコが恨まれることにもなってしまう。
また、不特定多数のネコがその場所に集まってくることになり、ネコが増えてしまうため、これまたネコが恨まれることになる。

なので、屋外のネコへのエサやりは、ちゃんと皿などの容器に入れて与え、食べ終わるまで立ち会い、終わったら後片付けをし容器を持ち帰る、というルールがある。

これも、せめて、食べ終えた頃に立ち戻って容器を回収する、ということならまだしも、ほとんどの人がやりっぱなしであり、それが至極当然のような印象をお持ちであろうと拝察する。
そもそも、与えたエサをネコが食べている間、その傍らで見守る、なーんてそんなことできっこないでしょ。
だって、そんなところで見ていたら、誰かに見咎められるでしょう!? 確かにそう思われるのも無理はないか。
ノラネコ/飼い主のいないネコに対する周囲の理解がさほど進んでいない以上、これも当然な言い訳であるとも思う。

私どもは、エサやりに対するご相談や、TNRのお手伝いの依頼の中で、「エサのやり方」に対するリサーチは必ず行う。
置きエサをされていれば、エサは容器に入れて与え、その場を離れないで立ち会ってください、置きエサはしないでください、とお話させていただく。実際、置きエサの方が非常に多いのも否めない。

そうは申せ、大抵の方が長年に渡る「エサやりスタイル」をそう簡単に変えられなかろう。

でも、この「置きエサ」を止めてもらわない限り、ノラネコ/飼い主のいないネコの問題はよい方向にはいかないだろうと思われる。
「エサを置く」という行為は大変無責任で、申し訳ないがやっている方の、「ネコを助けているんだ」という自己満足にしかならない。
そのエサを、本当に避妊去勢手術をしたネコが食べているのか、他の未手術の子は食べていないのか。
結局は不明のままになってしまう上に、食べ残されたエサが放置され、近隣の方々にとっても多大な迷惑行為に他ならないからである。

これは、エサやりの方々にもちゃんと説明しご理解いただくとともに、その周辺の方々にも説明し、屋外のネコに対する理解を求めるという、両方からのアプローチが必要である。
未手術の子をその置きエサが呼び寄せてしまう結果になっていれば、その場所での新たな繁殖が始まることになり、その地域のネコを減らすことが困難になるばかりである。

現在東京都では、昔のように「ノラネコは保健所に言えば殺処分にしてくれる」という、とっくのとうに変ってしまったルールを、未だにご存じない方もまだまだいらっしゃり、この辺りからお知らせして、誤解を解いていかなければならないと考える。

エサやりをされている方やボランティアさん、屋外のネコに関わっている方々の認識も統一し、意識を変えていただくことも必要になろう。

「たかがネコ」と人の問題の前におざなりにされ、後手後手に回った感は否めないが、そうは言っても「されどネコ」、ノラネコの問題は今、社会で大きな問題に発展しつつある。
ここで立ち上がらないと、いつまで経っても「不幸なネコ」を減らすことはできなかろう。

肝心の「ムギちゃんの置きエサ」だが、あれからは置かれていない。ほっ。

2021年7月 くどいけいこ