コラム「猫の手も借りたい」№208 ムギちゃんの新年
新しい年が明けました。
は~、色々あった昨年でしたが、今年もしばらくはありそうですよね……
私的にも色々あり、人生いくつになっても「しがらみ」はついて回るもんだとつくづく思う今日この頃ですが、一日一日を大事に過ごして行くしかないとも思います。
どうぞ、今年もお付き合いくださいませ。
さて、「黒ちゃん」の去勢手術が終了した。なんとか年内にと思っていたのが間に合った。
私を認識し、だいぶ慣れてきており、うちの玄関で給餌を待つようにまでなっていたが、手術をしてそろそろ10日、翌日からフードは貰いにきたものの、私がちょっとでも近づくと、遠巻きですぐに距離を取る。やれやれ。まあ、仕方ない、そのうち距離も埋まるであろう。
基本的に私のシマの、以前いた子たちはいなくなった、と書いたが実は、シマ三毛のムギちゃんが残っている。
ムギちゃんは元々、ネグラがどこだか分らず、少なくとも私のシマではないことはうすうす判ってはいた。
私が東京を留守にしている間は、時々こないこともあったらしく、給餌の友人は心配していたが、それには「黒ちゃん」が関係していた。
この黒ちゃん、去勢手術が済んでいなかったから、発情すると女の子たちを一所懸命に追いかけていた。女の子たちは、全部手術が済んでいたからいやがるいやがる(笑)。
でも、この付近には未手術の女の子はいないので、手術済みの子でも仕方なく追いかけるしかない。
くーちゃんがいなくなり、おまけにトラミちゃんも体調を崩し、女の子はムギちゃんだけに。
ムギちゃんは黒ちゃんに追われ、うちの周囲をうろつく黒ちゃんのために、うちにこれなくなったらしい。
特に、置きエサがなくなった黒ちゃんをなぜだか更に警戒し、ムギちゃんの姿が見えなくなり心配していた。
ある日の真昼間、私は散歩でとことこ歩いていた。ふと振り返ると、なんとムギちゃんが着いてきたではないか。
「あら、どこにいたの?」と近付くと、すぐ傍の路地に逃げ込んだ。
それは、うちからはわりと離れた場所で、こんなところにいるんだ、と驚いた。
それにしても、よく私を見つけたものだ。
ムギちゃんの居場所は判ったが、待っていてもこないのでこちらからフードを持って行ってみることにした。
ムギちゃんは、その路地の入口の道路脇で待っており、私が行くと走り出てきた。
なんて賢いこと、驚いちゃう。
その路地はよそのお宅の裏口で、さすがに気が引けた。
そのお宅の灯りが煌々と点いている間は避け、灯りが消えた夜の10時頃に給餌に行ってみると、まあ、食べる食べる、可哀想に。
私は給餌の場所を選んで、その道路脇の電柱の陰に、ネコ避けの水入りペットボトルが置かれているが、それを集め身を隠せる場所を作り、そこに皿を置いてやった。
以前より痩せているから、うまく食べられていなかったんだろう。
でも、よかった、フードを運んでやれて。
この日から毎日、ムギちゃんの給餌に懐中電灯を片手に出かけるようになった。