コラム「猫の手も借りたい」№137 シェルター

時々「シェルター」の話題になる。

事情がありどうしても飼いネコに出来ないノラさんや、交通事故でホームレス生活が出来なくなった子、捨てられて高齢になり里子に出せない子、など、行き場のない子の「ホーム」となるシェルターである。

「シェルター」を設立したい、という人はけっこういらっしゃる。
現在入っているシェルターが閉鎖になるとのことで「どうしたら良いやら」と、心配しているボランティアさんには、一番切実である。
数匹いるネコたちは行き場を失うことになる。
盲目の子、病気を抱えてる子、慣れない、外で暮らしたことのない子、など、それぞれが事情を抱えている子ばかり数匹の次の行き先を考えなければならない。
ネコに関わっていない人から見たら「バカじゃないの、そんなことして」の一言で片づけられることであろう。
確かに、自宅では飼えずはみ出してしまった子は「身の丈」を越えているわけで、そうならないようにしなくてはいけなかった。
でも、どうしてもどうしても見捨てることは出来なかったのであろう。

この子たちの面倒を見に、頼まれてヘルプで通っている人とは電話で「シェルター論」を話し合う。

『どこかにシェルターを造りたい。そうすればこの子たち、救ってやれるのに、、、』とその人。
『それはそうだね。でもね、あなたたち(その子たちに関わっている数人のボランティアさん)の優しさだと、新設したシェルターは善意なだけに、あっという間に満杯になり、すぐに受け入れられない子が出ると思うよ』と私。

現在の近隣のノラ猫(飼い主のいないネコ)事情では実際、シェルターはいくつあっても足りないと私は思う。
それだけ、ノラ猫(飼い主のいないネコ)の数は多い。
分母が多い分、屋外で生活できない「傷病ネコ」や「高齢ネコ」などわけありな子も多いわけで、関わっているボランティアさんだけでも、さらにそんな子を見つけたとか、今日相談があったネコさんをどうしても収容したい、などであっという間に膨れ上がるに違いない。
いくら私だって、シェルターがありながら「断る」という行為をする自信はない。

「空き」を待ってもらう余裕なんか、ノラ猫にはないということもある。
もちろん、運営を始めて「子猫」を入れたら「20年」の覚悟は必要である。
閉めようと思っても若いネコがいれば10数年は閉めるのにも必要という、永いスパンでの運営が待っている。
維持費、医療費でどれくらいかかることだろうか。

この世の中「なんとかファンディング」など支援の輪を広げる仕組みも出来ているが、そうそう簡単には軌道にのらないであろう。
だから私はそんなこんなで、シェルターを造るのは賛成しない、現段階では。
もっともっとノラ猫の数が減れば、全体的に「わけあり」の子も減るという理屈が成り立つ。
そうなったらなんとかやって行けるかもしれない。

しかし、今、シェルターにいて閉鎖後に行き場のない子たちはなんとかしてやりたい。

さて、「空き家」問題で騒がれる昨今、どんどん空き家が増えている現状である。
どなたか「空き家」を無償か格安でご提供いただける方はいらっしゃらないでしょうか、、、

2017年9月 くどいけいこ