コラム「猫の手も借りたい」№120 近頃の里親さん探し

img_120猫の里親さん探しは、みなさん大変な思いをされていると拝察する。 なにかの拍子に屋外から「猫」を保護せざるを得なくなり、色々なご事情で「自宅では飼えない」となると、里親さん探しをするしかないことになる。

今でこそ「里親募集情報サイト」が充実しているが、一昔とは言わないまでも数年前までは、みなさん、ご友人、あるいはご近所、職場などで「猫を飼って下さる人、誰かいらっしゃらない?」と訊いて回ったり、また動物病院さんに「募集ポスター」を貼らしていただいたり、などしか方法がなかった。

ところが今は「里親募集情報サイト」が充実し、「保護の輪」が確実に広がっていると思う。
しかし、そうはいっても「顔」の見えない「ネットサイト」ではやはり、十分に注意しないとトラブルに巻き込まれることがある。
終生飼養、完全室内飼い、など色々な条件は提示するものの、実際に里親候補さんにお会いして、お互いの「顔」を確かめあいながら、ひとつひとつ確認していかなければならない。

ユーザー登録をする段階で、本名ではない「ハンドルネーム(ネット掲示板などで、本名の代わりに用いるニックネーム)で掲載される場合も多いので、ネームだけでは国籍なども不明な場合がある。
外国人の方の場合、今後帰国される可能性も念頭においての応対も必要ではないだろうか。 「動物検疫」は国によって異なり、昔ほど長期ではないにせよやはり留め置かれることも視野に入れ、現在の法律のものではあるが調べてから対応した方が良いように思う。

さて、そんな大変な思いをしながら「里親さん探し」を私たちもしているが、私がボランティア活動をしていることを知っている職場の同僚からある日、「里親さんになりたい」と申し出があった。それも2匹の猫ちゃんのである。
うひょー、嬉しい。
その時ちょうど、埼玉県内の公園に遺棄されていたという5匹の兄弟姉妹猫の里親探しをしているボランティアさんがいらしたので相談したところ、とても喜んで「お願いしたい」と返事が来た。

この5匹の猫たち、眼がやっと開いたか開かないかくらいの子猫で、公園の片隅で段ボール箱に入れられ「ミィ~」と鳴いているのを発見した、というのだ。 動物病院を受診したが、ドクターのお話ではかなり弱っている子がおり、全部は育たないであろう、とのことであったが、動物病院さんの治療と看護の賜物で、なんと命の危険のあった子も持ち直し、全頭が元気になった。本当にありがたい話である。

この5匹を保護した方は、事情がありご自宅には連れて帰れなかったため、結局そのまま動物病院さんに預けっぱなしということになり、助かったのは良いが費用は嵩む一方となってしまった。
そこで、病院のGO(退院許可)が出たらなるべく早く自宅に迎えてやって欲しい、との依頼があったので同僚の代理人として私が、GOが出るまでまだ間があるうちに、動物病院さんに見学に行くことになった。
里親さんの希望が“2匹”ということだったのでこちらを最優先にしてくれ、5匹の子たちと対面し女の子と男の子(女の子は1匹しかおらず、4匹はオスだった)を選ばせていただき、病院さんからGOが出るのを待っていたらば「その日」はやって来た。

生後1ヶ月半、いっちばん可愛い時である。
見学時から見たらばずいぶん「猫らしく」はなったが、それでもまだまだ「ちーび子猫」である。
その子猫を貰い受け、同僚に手渡した時の嬉しそうな顔、今でもはっきり覚えている。
ちなみに同僚の第一声は、「小さい~、可愛い~」でした。
まったく存じ上げない初対面の里親さんなら、お名前、ご住所など「取扱注意の個人情報」もお伺いせねばならないしご自宅へのお届けもするが、長年一緒に仕事をし気心の知れた同僚ゆえ、安心して渡すことが出来たことは言うまでもない。

さて、トライアル(お試し飼育)中もいつもなら気になるところだが、同僚ゆえ職場の食堂でランチをしながら「どう?」と気楽に子猫たちの様子も訊ねることが出来、要らぬ心配をする必要もなかった。

お陰さまで2匹とも元気で育ち、今は大きくなりました。めでたしめでたし。

2016年10月 くどいけいこmachi_beret - コピー