コラム「猫の手も借りたい」№285 待ったなし

自然は待ったなしだ。正月もお盆も関係ない。

能登地方を襲った地震と津波。
東日本大震災の時も思ったが、「日頃のおこない」もなにもない、容赦なく押し寄せる。
倒壊した家屋、火災、辛い状況を見ているだけでなにも出来ないなんて……。
それより、映像を通して温かい室内で見守っているのさえ、気が引けてくる。
被害のあまりの大きさに、ため息ばかりが出る。

色々なものが寸断され、情報も届かないし入っても来ない。
また道路も通れないから、被災地から脱出することも出来なければ、物資を送るルートも限られる。
真冬の寒さ、食料はもちろん水もない。
命からがら、とはこのことではあるが、この先どうやって暮らしていけばいいのか、被災された人々を思うとお掛けする言葉もない。

その被災地に物資を運ぶための、海上保安庁の飛行機の事故。
これも、震災がなければ起きなかった事故には違いない。

衝突した航空機の貨物室で預かられていた、乗客のペットを助けられなかった、と事故後に話題になっている。
私も飛行機で移動する際に、ネコを預けたことがあり、本当に残念な事故である。

海外では客室にケージでペットを連れて乗ることが出来る場合も多い。

日本でも、乗客とペットが一緒に同乗出来る航空会社も出て来ているようだ。
ケージに入れて行く、ワクチン接種の証明書が必要、乗れる席も決まっているので、希望が重なれば別の便を予約しなければならない、など多くの条件があるがすでに貨物室ではなく、客室に同乗が可能になって来ていると言えるであろう。

しかし、例えば大型犬ではどうだろう。
まず、保安検査場は、飼い主がペットをケージごと抱きかかえて通過しなければならない。
ということは、抱きかかえられないほど大きなペットや、飼い主自身が重いものを運べない状態であれば、NGということなのだろうか。
今回の事故は、航空機はスタッフも含め、搭乗者全員が脱出に成功している。それも最後に機長が脱出するまでに「18分」という、素人が考えたら「長いな」と思えるような時間を要しており、これほどの事故だと、同乗のペットを守ることって本当に大変だろうと思わずにはいられない。

日本では現在、子供のいる世帯よりペットがいる世帯の方が多い、状況であるという。

もちろん、地域によって差があるだろうが、それでも飼育ペット数は多くなる一方である。
被災地でも、ニュースにはならないが、多くのペットが倒壊した家屋の下に閉じ込められたり、亡くなったことであろう。
人と一緒に暮らすパートナーアニマルとなった、特にイヌ、ネコにいたっては、運命を共にする家族であるわけである。
自分が助からなければ、ペットは助けることが出来ない。
毎回ぶつかる壁だ。
私自身、準備はもちろんのこと、覚悟も出来ていない。

2024年1月 くどいけいこ