コラム「猫の手も借りたい」№110 処方食
三寒四温とはよく言ったもので、このところ春めいて来た。 うららかな日が数日続いたかと思うと、ドンと寒くなり「雪」の予報があったりするので、防寒には気をつけないといけない。
温かい家がある私たちは良いが、外で暮らす猫たちは寒暖の影響をモロに受けることになる。
うちの庭のキジトラ「トラミちゃん」は高齢になり、「ゼイゼイ」と喉を鳴らし本当に心配になる。
推定で12歳くらいか。
ここんとこ「この冬、越せるかな・・・」と毎年思うが、今年もなんとかクリアしそうな気配。 もう少しだ、ガンバレ、トラミちゃん!
さて、うちのタマだが、そろそろ16~7歳になろうかと推測される。
昨年(2015年)6月に大学病院を受診したが、CT検査の結果「様子見」となった(コラム No.96を御覧ください)。
その後はまあ、ぼちぼちと暮らしている。
腎不全の数値はジリジリと上がって、皮下輸液の間隔も狭まって来ているものの、これも致し方なしと私もドクターと相談しながら頑張っている。
先代の♂猫「チャオ」は腎不全で失ったが、送ったのは2007年なのでもう9年も昔のことになった。
チャオは私の不注意で病気の発見が遅れたため、けっこう症状が進んでしまっていた。
当時13歳であった。
それから毎日、365日、1日も欠かさず皮下輸液を続け、3年間彼は普通に生活し、16歳で亡くなった(コラム No.63、64を御覧ください)。
もし、皮下輸液をしなければ、恐らく数ヶ月の命であったと思われる。
チャオは元々、ドライフードが苦手、ウエットが大好きだった。
そう考えると、一般食中心でバランスが悪い食事をしていたので、腎不全を早く招いてしまったと思う。
それはひとえに飼い主である私の責任であり、本当に今は亡きあの子にお詫びしたいが今更である。
発症当時、皮下輸液と食事を処方食に切り替えるくらいしか治療法がなかったが、しかし、今もあまり変わりはないようだ。
腎不全の治療ってなかなか進まないんだなぁ。もっとも人間も同じだ、人工透析と低たんぱく/減塩食の食事療法も、変わらないもんな。
タマは処方食のドライフードを難なく食べる。経験者はお解りだと思う、これがどんなに飼い主孝行か。
チャオは、ほとんど食べなかったので、私は頭を抱えた。
そのままでいるとどんどん食べなくなって来て(正確には食べられないんだと思う)体重が減って来てしまい、毎日のことなので泣きたかった。
なんとか食べて欲しい、とインターネットで処方食探しにどれほど検索したことか。
処方食は、その頃は本当に種類が少なかったので、なかなか彼に合うものを見つけてやれず悲嘆にくれた。
タマはドライフード好きでなんでも食べてくれるので、処方食をずっと与えている。
そんな中、ふと思い立ち、久しぶりにインターネットで処方食を検索してみたところ、あるわあるわ、びっくり。
何種類もある。もうもう私、嬉しくなっちゃって、いろいろいろいろ注文してみた。 今は消費者向けに市場が開拓されているのか、大袋(キロ数が多いということ)しかない、ってなことも昔はあったが、小さい袋も出ており、注文しやすい。
今夜、4袋(種)くらい届くので、心待ちにしている。 タマはきっと食べてくれるに違いない。
彼女もトシには勝てないだろう。
だが「明日が来ない」と解っているのは私(人間)だけ、タマは食べて、眠って一日を過ごす。
美味しく食事をし、ゆっくり眠れる環境を整えてやることがタマの一番の望みに違いない。
私が負けないようにしないと。